ゲームで得た仕事術と暮らし システムのシミュレーション

どうもです。

さて早速、前回に続いて、

シミュレーションゲームの意味や構造について考えていきます。

が、

 

1つのテーマとして、

ゲームで得た知見が仕事にどう活かせたか。

これについても考えていきます。

 

自分の人生における仕事経験はまだそう長いほうではないため、

あくまで自分はこう役立った、

という話になります。

 

全体の構成としては、

0.準備

1.ゲームによって仕事に何がもたらされたか

2.ゲームによって暮らしに何がもたらされたか

3.続・どのような題材ならシミュレーションに出来うるか

※長くなるのでやっぱり2回に分けます 

 

という感じで行きましょう。

 

0.準備

まずは前回を振り返っていきましょう。

 

シミュレーションゲームによって何がもたらせるか、

②どのようなシミュレーションがありうるか、

この2つについて考えていきました。

 

①では、

・現実では体験が難しい、極限環境のようなものをまざまざと味わえ、

 理解が助けられる。

・あったかもしれないもう一つの現実を、実験的に再現できる。

 (文字通りの意味での「シミュレーション」。)

という一応の結論に至りました。

 

②では、

・生態系や道徳であればゲームに出来えるのではないか。

というところまで思索しましたが、

 

まだ萌芽する具体例を挙げるにとどまっており、

より一般化する余地が残っていますので、

この記事の後半(次回)でもう一度考えます。

 

 

1.ゲームによって仕事に何がもたらされたか 

 

前回考察したように、

ゲームの「シミュレーション」は、

 

文字通りの意味、

車や天気、買い物客などの動向を、計算や思考実験で予想するといった意味での

シミュレーションに近いとも言えます。

 

かなり大風呂敷を広げれば・・・

「科学」に貢献するポテンシャルをも持つように感じられます。

 

では、より手近なところ、仕事や生活においてはどうでしょうか。

 

それぞれ、

かなり初歩的なことを言っているかもしれないので、

「あ~、まあな」くらいの形で流していただけると幸いです。

 

例えば、下記の 『Factorio』では、

かなり仕事術に近い学びが得られたように思います。

 

store.steampowered.com

 

前回のようにシミュレーション対象別に言うならば

生産と物流のシミュレーションといえるでしょう。

 

前回参照した「Block'hood」は、

作り上げていくことが楽しさの中心であるためか、

「生産した資源が、どのように運ばれていくか」は省略されていました。

 

一方 Factorio は、より、物流に特化したものになります。

 

このゲームでは自分一人で、無限に広がっていく大規模工場を

マネジメントするため、

 

相当な工夫と、さまざまな自動化、

そして確かな保守が求められます。

 

 1.1.まずは半自動化

 

工場を作っていくゲームと聞いて始めて見ると、

驚きのスタートを迎えることになります。

 

なんと、周りにまだ何もなく、

つるはしを持った人が一人で立っているのです・・・。

 

このようなとき、どうすればいいでしょう。

 

いきなりフローの全てを自動化することはできませんから、

可能なところだけまずは自動化すればいいわけです。

まずは、機械と人のハイブリッドです!

 

f:id:a16777216:20170715190807p:plain

 

まずは銅などを掘る機械を置き、

(こいつが動くには燃料が必要なので、)

手動で燃料を与えてやります。

 

まだ、鉄や銅を加工して機械や設備を作るようなものは、

一切できていないので、

自動化されたシステムと呼ぶには程遠いです。

 

しかし、この1つのモジュールを作るだけで大分手が空くため、

このおかげで、後続の自動化が体よく進むようになります。

 

さて、機械と人のハイブリッドという手法は、

相当程度システムが機械化出来た後でも

重要になる局面がかなりあることをよく経験しますが・・・

これについては長くなるため、またどこかで。

 

1.2.スケーラビリティー

 

さて、この後・・・

自動化を急ぎすぎて、重大なミスを2つ犯します。

 

そのうちの1つがスケーラビリティー。

 

f:id:a16777216:20170715193500p:plain

 

真ん中の段は、

左半分と右半分とで、

作るものを変えていますが、

 

右半分は、画面外の右のほうに湖があるため、

これ以上工場を拡大できなくなっています。

 

つまり工場全体を、2倍、3倍、・・・と拡大するのを

非常に困難にしてしまっているのです。

 

思えば当然のことでしたが、

何倍にも大きくなるのに備え、なるべく簡単に拡大できるよう

設計を考えるべきなのでした。

 

現実では不幸にも、結局拡大どころか縮小することになり、

 拡大に備えることがかえって無駄になる場合も多いですので、

 そもそも拡大するのかを見極める必要があったりしますね・・・

 

1.3.各部門を専門化する

 

さらにこのあと困難に直面します。

 

加工する機械へのインプット・アウトプットのベルトコンベアに

無関係のものを溜めすぎてしまい、

工場が何度も機能停止に陥ります。

 

f:id:a16777216:20170715201244p:plain

この工場では緑のフラスコを作り、

下のコンベアに流すはずなのですが・・・

 

下のコンベアが別の具材で埋められており、

緑のフラスコを流せません。

このアームは相当融通が利く万能なヤツで、

 インプットてあろうとアウトプットであろうと、

 手渡すべきものを自動で手渡してくれるスグレモノですが(現実でも欲しいくらい)、

 コンベアの奥側がいっぱいだと置けない、という難点(利点でもある)があります

 

これに対する解決策はズバリ、

各加工場に対応するコンベアにはそれに関係するものしか流さない、

でした。

欲張って兼用にするからうまくいかないのです・・・

 

下記のブログを拝見し唖然としました。

極論、うまいかたのやり方を見ることが、

一番仕事に役立つかもしれません。

holdgame.net

 

スケーラビリティと合わせて振り返ると、

 

なるべく小さい範囲に工場を作ろうとするのでなく、土地をふんだんに使って、

隙間とかも残すことで後で改修しやすくし、

かつインとアウトを専門化するべきだったということですね。

 

ところで現実では、専門化が必ずしもうまくいかない場合もあるかもしれません。

横断的に知識を活用することと、専任することのトレードオフ

情報を階層化することと、メールのパス数をなるべく減らすことのトレードオフ

規模の経済と、管理が行き届かなくなることのトレードオフ

そして、前述の、人と機械のハイブリッドの必要性。

このあたりもまたの機会に改めて考えたく思います。

 

ともあれこの factorio の世界でうまくやるには、

上のような工夫が賢いやり方であったわけです。

そしてこれは現実においても一定の有用性を持つに違いありません。

 

1.4.バッファと恒常性

 

さて、雨量しかり、

世の中供給が一定とは限りませんから、

そのデコボコを埋める工夫が必要であります。

 

それは例えばダムだったりします。

 

上のような失態の中、

今回唯一自分を褒められる点があったとすれば、

 

ダムのような一時保管箇所を挟むことで

流量をなるべく一定にした点です。

 

f:id:a16777216:20170715203751p:plain

 

電車でたまに運ばれてくる鉄をコンベアに移すさい、

なるべく時間当たりの供給を一定量にするために、

 

箱に一時保管するというクッションを挟み、

そこから、非常にゆっくりとしたペースで取り出していきます。

 

(まあ、これも誰でも思いついてるかもしれませんが・・・笑)

 

森は水を大地にとどめ、

川の流量をなるべく一定にする天然のダムだなんて言ったりしますが、

まあそんな感じをイメージしつつ。

 

 

他にも「見えているリマインダー」みたいなテクニック

例えば、次のTODOを敢えて途中までやりかけておくことで、

 その場にいったときに思い出せるようにするとか

なんてのも考えられます。

 

これは前に、下記の終盤の「散らかすメリットを考える」でも考察しました。

a16777216.hatenablog.com

 

さて、

長くなってきたのでこの辺りにしたく思います。

 

次回への布石とまとめ

 

最後に、残りの2~3についての布石だけ残しておくことにします。

 

ゲームのある暮らしを考え始めると、

もちろん費用対効果も頭をよぎります。

 

ゲームの中で「さいきょう」を目指す際もやはり現実と同様に、

95% を 99% にするには、

ふつう相当な時間がかかると思います。

 

いかに 20% の努力で 80% の「さいきょう」を目指すのか?

これもある意味ゲームのうまさと言えますね。

 

(その意味でも、教訓としてはよかったものの、

 上の1.2~1.3みたいなミスは避けたほうがいいわけですね)

 

もちろん、「ゲームと生活」の中には、

これを包含してもっと広大な考察の余地が広がります。

 

 

一方、「どのような題材ならシミュレーションに出来うるか。」

 

これを一般化する切り口では、

たとえば「現実の中でゲームに似た構造を有するものは何か?」

などが考えられますね。

 

戦いはもちろん、

経済や政治なんかは非常にゲーム的といえるでしょう。

 

一方、「生産や物流」は、ゲームと少し遠いように感じられます。

そんな中、Factorio のもたらした貢献として、

「いかに(非ゲーム的な現実から)ゲームに近しい側面を切り取るか?」

という問いを

垣間見たように思います。

 

 

この見方を通じて、非ゲーム的な現実のシミュレーション化や、

他にどのようなゲームができうるかを、

次回考えていきたく。

 

 

さて、ここまで、

ゲームの中から仕事に応用できそうなエッセンスを見出してきました。

 

これは Factorio という、

いかに自動化するかが問われるゲームだからこそと言えるでしょう。

(そしてその自動化を実装するための、ゲームの自由度の高さ。)

 

これを一般化して考えるなら、

・「短期についての最適化」と「長期についての最適化」の優先順位決め

・自然や社会、生態系など、既存の構造から模倣できること

 

このようにまとめられるでしょうか。

 

また、この2点は、問いかけと解釈することも出来そうです。

 

さらに、こうした問いは、上記のゲームに限らず、

普遍的なものであるはずです。

 

とするならば、

よりさまざまなゲームの中で答えを探る、

という課題も残されます。

 

これを踏まえて、最後の布石に

「ゲームは生命をシミュレーションするか?

(そしてその見方は仕事に有用足り得るか?)」

を、残します。

 

絶え間なく自分の縄張りを拡大し、

個体を増やし続けることを善とする集団。

 

 

jp.automaton.am

これは、

(生体の詳細な部分はさておき)

生物の集団の挙動そのものではないでしょうか。

 

そしてその普遍性・状況依存性を探求する窓口としても

十分な価値を発揮できるのではないでしょうか。

 

・ゲームと、生命としての人間の関わり合いは。

・生命のどのような側面がゲームたり得るのか。

・そして、ゲームを通じて集団の挙動を理解したとき、その応用は。

 

・・・と、次回とのつながりも、薄っすら残せました。

 

 

それではまた次回。

ありがとうございました。

 

参考文献

「ほるげー Factorio:8時間クリア実績獲得のための手順メモ その[1, 2]」2017/07/15 アクセス