ミュージカル「INTERVIEW〜お願い、誰か僕を助けて〜」感想

こんにちは。センケイです。

 

先日、伊波杏樹さんもご出演されているミュージカルが行なわれるということで、行ってまいりました。

推しのかたをこんなにも間近で拝見できたというドキドキや、大変刺激的な内容で心動かされたことを、忘れないうちに残しておきたいと思い、記事にしておきたいと思います。

 

意識を軸にした脚本であったこともあいまって、この出だしを書いている翌日になっても、まだこれが現実なのかどうかも判然としない状態ですが…笑、やっていきましょう。

 

 

ところは品川、プリンスホテル。実はここは Aqours の劇場版もかなり見に来ていた場所の1つで、感慨深いものがあります。虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会ステラボールが当選していたら、さらにもう1つ思い出が加わっていたことでしょう。

 

 

さて、驚かされたのはその会場の規模と席の近さです。

当然何千人規模の会場になるだろうと想像していたので、良い意味で数百人規模の会場とは夢にも思っておらず…!

 

んで…、しかもなんと先頭の席と来たものです。

私なにかしましたっけ?よっぽど高価な BD など購入して先行申込しましたっけ?いやいや、そんな覚えはありません。

 

近い!正方形のステージのある頂点の目の前です。

なので、キャストさんがその頂点に立たれた際は、パーソナルスペースの議論で出てくる4つの距離のうち、3番目に近いもの…、「社会距離」 (〜 3.5 m) にまで接近してしまいます。ウソ!?

 

会場内ではお水を飲めないようなので廊下に出て水を飲むなどしてまあ落ち着くとしましょう。

おろおろしているうちに始まり、冒頭、これを待っていた!とばかりに始まる伊波さんの歌です。お美しい。

 

しかし近いです。話の内容がとても入って来るとは思えない緊張感のなか、さらなる出来事が起こります。

なんと伊波さんが舞台袖を歩かれるようなんですね。

 

これはまずいですよ。まだ自分からは離れた舞台袖を歩いてらっしゃいますが、このまま順調にことが運べば、4つの距離のうち2番目に近いもの、「個体距離」(〜 1.2 m) の内側まで接近することになります。表情が読み取れる距離。両方が手を伸ばせば届く距離。

 

そんなことが起こるはずがありません。私はありとあらゆる間違いの可能性を考えました。

INTERVIEW ではなく、間違って何か違う舞台に迷い込んでしまったのではないか。

間違って Team BLUE のご公演の日に迷い込んだのではないか。

席を間違って座っており、そろそろ「場所間違えてますよ」と連れ出されるのではないか。

あっちの舞台袖を歩かれているだけで、自分の前を歩かれることはないのではないか。

これは妄想か何かではないか。

 

2週間たった今でも、ややもすればあれは妄想だったのではないかと思える、そんな現実感の無さがありました。

その現実感の無さというのもひょっとしたら、ショックで昏倒してしまわないための、防衛機制か何かだったのかもしれません。

 

しかしそのときは来、伊波さんは、私の目の前の道を通っていきました。

なんとなくバツが悪く、というか、直視できず、というか、目をそらさざるを得ません!

とにかく凄い瞬間でした。こんなに緊張したことが未だかつてあったでしょうか。

 

 

しばしの間呆然としながらも、ストーリーから置いてけぼりにならないようにしないとという事にハッとして、必死で追いつこうとしてみます。

 

さて、少しずつ話の展開が見えてくるころにはちょっと気持ちが落ち着いてきて、そうするとその筋書きにも、だんだんと魅了されていきます。

導入のときのモノローグとはちょっと噛み合わないような台詞回しから何か影を感じさせる、それでいて落ち着きを見せるユジン・キム。

若々しいお顔をしているのにその渋みのある役柄を見事に演じられ、高音もきれいに歌ってらっしゃる松本利夫さんにどんどん惹かれていきます。

 

そして、若者マット・シニアとエスカレートしていく討論。糸川耀士郎さんの名演については、後述します。

 

回想シーンになり、オープニングにみた意味深な歌とは打って変わって、希望に満ちた歌を歌われる伊波さん。その音域、綺麗さ、役柄の幅広さに驚かされますが、この歌にはそうしたものともまた別の訴えかけるものがあり、涙が出そうになります。

 

さて、先程の「自分にこんな幸運が巡ってくるはずがない!」という思いと、その声や雰囲気の幅広さから、「本当に伊波さんなのか…?」という思いをどこか拭い去れずにいましたが、またその少し後のシーンで、これは間違いなく伊波さんだ!と確信できる演技の箇所がありました。無邪気で明るい役柄のお声です。

ただその聴き覚えのあるトーンも、よく存じ上げているそれと比べて、さらにもっとずっとあどけないキャラとして演じてらっしゃいました。さてそのキャラにもこれまた、言葉にするのが難しい不思議な感動を感じました。

 

さて、この前後辺りから、糸川さんの独壇場になっていきます。

まず伊波さんに惹かれ、そして松本さんに惹かれとしてきましたが、ここから先の糸川さんの演技される幅、ヤバイです。1名のかたが、本当に別人のようにこんなに演じ分けが出来るものなのか。熟していくストーリーと相まって、かなりゾクゾクさせられます。

役柄としての若さやダイナミックさとも凄くマッチしていて、それに上乗せされる形で、ときに謙虚に、ときに傲慢に演じ分けてらっしゃるので、それにかなり揺さぶられます。

や、生で見るミュージカルって、これが初めてではなかったんですが、こんなに情動に働きかけてくるものなのかというのは知らなかったです。ミュージカル、本当に良いですね。

しかし糸川さんに惚れ惚れする気持ちでいっぱいになっているうちにも目まぐるしく展開が進んでいきます。その置いてけぼりにされそうになるスピード感自体もこれまた素晴らしいのですが。

「怪物」をめぐるこのサスペンスは、モノローグに焦点を合わせているようでいてその実とてもダイナミックで、恍惚とも言える感情を伴って結末を迎えることができました。

 

濃厚で2時間とは思えないほど多くの経験をし、本当に満足した2時間。しかし、激動の展開に終わっていくのが惜しまれるという意味でやはり短くもあった2時間。

その最後の締めくくりにて、改めてその3名のご演技がいかに名演だったかをさらに痛感させられるのですが、これはネタバレが過ぎるので脚注にしておきましょう*1

 

そして終演後の挨拶。

この時点で相当満足し、嬉しい状態なのですが、さらに尊いことに、キャストさん全員が、舞台のあらゆる方向に向かって順番に近づき、そしてその方へとおじぎをしてくださるのです。

 

ある頂点の最前列に伊波さんがいらしたとき、またしても驚いたことに、まるで「前に来たのを覚えているよ!」みたいな表情をされていて。

いやいやいや、それは絶対にない!

所沢に瞬く4万の星の中の1つに過ぎなかったんですよ私は。アリーナ席でもなかったですし。

しかし事実はどうあれ、そんなご表情を見て、スタアのお仕事っていうのは本当に凄いなというのを改めて痛感しました。こうして全ての公演の観客1名1名と、そうした熱意で接してらっしゃるのですよね、きっと。

 

出会うもの1つ1つを大事にし、お会いできる人との出会いの1つ1つを大事にし。そんな熱意を持った生き方を自分ももっと意識して頑張っていかないとな。そのように鼓舞された気持ちでした。

まだまだこれから、仕事も、プライベートでいろんなかたと関わるような場面も、しっかり頑張っていきたいなと。

 

 

最高の舞台。それは、またしても自分を勇気づけてくれ、そして舞台は本当に最高だなという視聴後感と素敵な思い出とをもたらしてくれるものでした。

*1:今までの無邪気な振る舞いが実は演技だったことをカミングアウトし、凍りつくような冷たい側面を見せる伊波さん。うぉ〜…推しのかたのこの激しい落差で引き起こされるこの胸の高鳴り、生きてて良かったといいますか、今自分が生きているという不思議な実感をまざまざと感じさせられます!続いて糸川さんは、あれほど激しい振れ幅をご披露したあとで、デフォルトの人格にこそほんとうの意味で幅があったことを明らかにします。その1つの人格の中での細かいのキャラの差の演じ分けに、脱帽です。そして最後に松本さんは、この INTERVIEW 自体が劇中劇であったことを明かします。つまり、犯人かも知れないような怪しさを醸し出した名演も、演技の中の演技だったわけです。この微妙な機微を実は演じてらっしゃったという松本さんに、最後にまたグッと心を持っていかれました…!