こんにちは。センケイです。
タイトルの 「800 曲予習」は、これを書いている時点ではまだブラフです…。
ここまでで聴いたのがミリマス 390 曲、デレマス 140 曲くらいで留まっており、私がフェス参戦する 12/10 までに完了させます…笑
そういうわけで、フェスに備えてアイマスのサブスク曲を全曲予習 (しようと) した中で、特別に感動した曲を紹介しようと思います!!
なおセンケイは、流石に「シリーザー」*1とはいえないものの、一応ファンと言える程度にはラブライブ!を追っているマンです。
アニメ化されたものは全部見ているし曲もサブスクにあるものは全て聴いているけど、Liella! と蓮はあまり現地に行けていなくて、Liella! の 01/07 の千葉公演は参戦したものの…という感じの。
Spotify まとめはこのような内容で、こうやって見ると一応ラブライブ!が多いですね。加藤達也さんはサンシャイン!! の劇伴をされたかたで、小林さんや鬼頭さんもラブライブ!の声優さんをされたかたですね。
アイドルマスターシリーズについては、アニメ化されているものは全てではないものの無印の1・2期、シンデレラガールズ1・2期は見ていて、ミリオンライブ!も今期追いかけているという具合です。
曲は、アルバムで何枚か音源は持っていたという形で、サブスクがある程度解禁されたためにこの機会に一気に聴いてみようということで今に至ります。
その中で、世界の見え方が変わるほど感銘を受けた曲が、少なくとも2つあります。
フェスで行なわれるかどうかはさておき (ご担当のキャストさんがいらっしゃるとも限りません)、その感銘を少し言葉にして読み解いてみようと思います。
1つは、「ユニーク・スターズ・オン・ステージ!!」(双海亜美 (CV.下田麻美)、双海真美 (CV.下田麻美))。
もう1つは、「Moonrise Belief」(天空橋朋花 (CV.小岩井ことり)) です。
今回は、ユニーク・スターズ・オン・ステージ!!について少し言語化してみようと思います。
ミックスして初めて完成するかくれんぼ
うおぉ〜っこういう1曲で2曲分の主旋律流れる曲好きすぎhttps://t.co/JI6hDT61ly
— センケイ 文学フリマ東京37 そ13-14 真剣な遊び (@a33554432) November 30, 2023
そうでした、この曲を初めて聴いたのはまだ今日なんですよね。
にも関わらず、すでに長い間この曲とともに生きてきた……そのように勘違いするほど、人生を変えられたような気がしています。
自分がそう感じた大きな理由の1つは、何と言ってもこの曲が、2つの曲のミックスでできている曲だからでしょう。
双子の亜美、真美 (いずれも CV は下田麻美さんです) が追いかけ合うように歌う曲で、最初は単に主旋律が2つある曲──それでも十分に凄い──と思っていましたが、これは亜美と真美の2つのソロ曲が合体した曲であるということを知りました*2。
それゆえに、バランスよく掛け合うメロディが大変心地よい仕上がりになっています。
亜美、真美姉妹は、無印アイドルマスター自体がかなり有名なためご存じの方も多くいらっしゃると思います。
しかしアイドルマスターを通っていないかたでも、『組曲『ニコニコ動画』』の1曲目として亜美、真美が歌う「エージェント夜を往く」(元は菊地真の持ち歌) をお聴きになっている可能性は高いと思います。(歌の「溶かしつくして」の箇所が「とかちつくちて」と聞こえるということを得て有名なミームとなり、組曲としても取り上げられたのでしょう。)
曲の話題に戻りましょう。
特筆すべきギミックの1つは、かくれんぼになっている掛け合いでしょう。
曲中で対応する位置にある歌詞が、以下のように入れ替わっています。
- 真美の「ユニーク・スター・プレイヤー!」: 「「もうい~っかい」がんばっちゃうよ」
- 亜美の「オン・ステージ・プレーヤー!」: 「イタズラっぽく「まぁだだよ」」
これの凄い点はかなり多く挙げられます。
第一に、見て取れるように、二人の歌詞を合わせて初めて 「もうい~(っ)かい」「まぁだだよ」という掛け合いになる点です。
第二に、実はメロディも「もうい~(っ)かい」と「まぁだだよ」で繋がっており、「イタズラっぽく」と「がんばっちゃうよ」で繋がっている点です。
真美の曲だけ聴いても、亜美の曲だけ聴いても決して曲として未完成には感じさせない絶妙なバランス。それでいて、実はこの2つの異なるメロディ (仮にメロディ A、メロディ B と呼びましょう) は、2曲が合体しないと完結しないメロディだったのです!
後に示すように、「はい、交換!」の直前でもメロディの交換が起こっているのですが、ここでもよくよく聴いてみると交換をする二人の阿吽の呼吸がすでに始まっているのです。
これが凄い点の第三として、この交換は先にリリースされている真美の時点 (2022 年 4 月) では、かくれんぼであることがハッキリ分からないように巧妙に隠されています。小さい「っ」が入っているし、「もうい~っかいがんばっちゃうよ」という形で、意味のある別の文章として成立しています。
真美のここの1サビは、何回でも挑戦する意気について歌っており、この歌詞は全体の流れとしても (かくれんぼとは独立に) 一貫している内容になっています。
2つを合わせて初めてかくれんぼが浮き彫りになり、もともとそれぞれのソロ曲にあったストーリーと合わせて、一つの歌の中に3つのストーリーが重なってきていると言っていいでしょう!
第四に、上で示したように2つの別々のメロディになっているために、ミックスされた際に2曲が同時に進んでいるように感じられる点です。
全く異なる曲を合わせ、"マッシュアップ" して楽しもうという音楽の楽しみ方も存在しますが、ここでは計画的にそれをやっているわけですね。
(ミックスとマッシュアップについては、下記のように同人誌用の下書きとしてまとめています。((同人誌も完成しており、〈真剣な遊び〉をテーマにした雑誌の、音楽特集号として刊行しています。詳細はこちらを御覧ください笑。)))
洋楽の事例は詳しくなさすぎて全然書けいないんだけど邦楽から音 MAD に至る流れはこれくらい書けば宜しいかしらね? (他にも著名な事例は色々あるとは思うが…) pic.twitter.com/OIg34hoKqf
— センケイ 文学フリマ東京37 そ13-14 真剣な遊び (@a33554432) October 30, 2023
この箇所だけでも、私が気付いただけで少なくとも4つは大きな魅力を感じることができました。
しかし、この合体を見据えて準備されていたギミックはまだまだこんなものではありません。
歌詞から見えてくる二人の睦まじさ
歌詞には恐らく数えられないほどのギミックがあり、以下に二人の息がピッタリか、相手をおもんぱかっているかが感じられるます。その一部でも拾えるように頑張ってみましょう。
歌詞にもお互いの入れ替わりを示す文言があります。
歌詞をテキストで読まないと分からないような箇所にも
- 真美の曲: 「わたしは"ワタシ"」
- 亜美の曲: 「"ワタシ"はわたし」
という入れ替わりが見られます。
このあとに続く文言は、ビンゴさんというかたのブログで気付かされたのですが、
- 真美の曲: 「っていうPRAYER!!」
- 亜美の曲: 「っていう PLAYER!!」
という形で R か L かが入れ替わっています。
上記のビンゴさんのブログではこれが R≒右、L≒左という意味ではないかというご指摘がありますが、たしかに合体後は真美が右耳で大きく、亜美が左耳で大きく聞こえます。
また、後に示すように二人の個性を考えると、優しい人物である真美が祈る人であり、より奔放である亜美が遊ぶ人というのは合点がいきます。
さて、そして2サビ。これは1サビ以上にとんでもないことになっています。
同時に歌っているようでいて、内容はどう見ても補完しあっているのです。
- 真美の曲: 「いっぱいある明日から 一個なんてもったいない」
- 亜美の曲: 「We Find, Now! また発見 / We Go, Now! 次どっち?」
真美の「いっぱいある明日から」だけ見ると、何のことか分かりません。しかし亜美の「We Find, Now!」によって、何か発見をしようという話なのだと分かります。
真美が「一個なんてもったいない」とするのに先行して、亜美は「また発見」とし、多くの発見をすることを予め志しています。
二人で息を合わせて、明日から多くの何かを見つけていこうという話になっているのです。もう一方の歌詞を参照しなければストーリーが完結しないことから、お互いの信頼関係が垣間見えてきます。
これに続く二人の歌詞が、
- 真美の曲: 「「もうい~っかい」よくばっちゃうよ」
- 亜美の曲: 「もうないかな?「まぁだだよ」」
となっており、発見をさらに繰り返していくことを補強しています。
ここで、かくれんぼにおいては真美への反論であったはずの亜美の台詞「まぁだだよ」は、ここでは驚くべきことに、さらに探せるものがあるという意味に変わり、真美に賛成する内容になっています。
反意が同意に変わり、見事なシンクロが生まれる!上で見てきたようにただでさえ相当な様式美であったかくれんぼが、さらに強化された奇跡を生んでいます。
二人の個性を表現するかのようなリズムのギャップ
曲のコード進行と BPM はともに恐らく同じものに揃えられていると思いますが、リズムは両者で大きく異なっています。
自分の記憶の中では、二人とも共に元気な人物だとざっくりとした印象で覚えておりました。しかしもちろん二人のパーソナリティーにはそれぞれ個性があり、ニコニコ大百科によると「亜美のほうがより自由闊達で奔放、真美は心優しく、責任感の強い子」とされています。
亜美と真美の曲は、まるでこれを反映したようなリズムの違いがあります。
亜美の曲は BPM 156 に対してスネア (ダ!という目立つドラムの音) が裏打ち (ズッダッズッダッという感じ) で入っており、体感の BPM が 312 というかなり速い元気な曲に聞こえます。
真美の曲は BPM 156 をそのままにダンスビートになっており、元気は元気だがややしっとりして感じられる曲の構成になっています。
最終的にミックスされた曲は、耳のそばだて方しだいでどちらのリズムにも聞こえます!(倍テン元テンのどちらにも聞こえるリズム、少し古い歌で例えると、SUPERCAR の「WHITE SURF style 5.」のような感じでしょうか。)
さて、このどちらにも聞こえるリズムは不思議だなと思いました。
もし真美の曲のダンスビートが、典型的なダンスビートである「ズッチッダッチッ」という真ん中にスネアが入るリズムだったら、合体したときに「ズッダッダッダッ」と少し間延びした感じになり、倍テン裏打ちのスピード感は損なわれるはずです。(WHITE SURF style 5. の場合は、ダッ!の音色が微妙に違うことでこれが回避されていました。)
よく聴き返してみると、真美の曲は「ズッチッズッチッ」となっており、スネアの「ダッ!」が入っていないか、殆ど聞こえないんですね!スネアがなくてもダンサブルさが維持されて聞こえるのは意外な発見でした (しかし思い出してみれば JUDY AND MARY の「Rainbow Devils Land」のような例もありますね。)。
これで
- 真美の曲: ズッチッズッチッ
- 亜美の曲: ズッダッズッダッ
というように、真美の元テンダンスビート、亜美の倍テンメロコアが同居できます!
クライマックス、交換する姉妹
そして極めつけは最後の「はい、交換!」の前後です。実はこのはい、交換!の直前にもう交換が行われているので、はい、交換!は元に戻す合図になっています。
真美は歌詞・メロディとも亜美の1サビを歌い、亜美は歌詞・メロディとも真美の1サビを歌う…と思いきや、微妙に違う!
- 真美の曲: 「さぁ、Let's go!」
- 亜美の曲: 「かくれんぼ」
この箇所はメロディは逆であるものの、歌詞は自分の歌詞を歌っています。歌詞の一部だけ入れ替えずに残している!これでさらに新しいストーリーが生まれ、付け加わるのです…。
さらに、
- 真美の曲: 「寄り道してもいいよ」
- 亜美の曲: 「「もうい~かい?」見つけ出した」
と、真美の「も〜いいよ」の箇所が「メロディを (寄り道して) 交換しても構わない」という文脈に位置づけられています。またかくれんぼのギミックが隠されているというのが技巧的で素晴らしいです。
が、個人的にはそれ以上に、相手のメロディに寄り道してもいいよという気のおけないさまが美しく感じられ、このあたりから泣きそうになってきます。
そこにきてトドメの「「おたがいのメロディーを はい、交換!」」
これはもう涙なしには聴けなくなりつつあります😭
さらに追い打ちをかけるように
- 真美の曲: 「会いたいなってゆう気持ち」
- 亜美の曲: 「I Like, Now! あっちこっち」
と、だんだんと、そして同時に、お互いのことを思い出すかのような関係性が垣間見えてきます…。
- 真美の曲: 「「もうい~っかい」キミの声が 聴こえた!うれしい!」
- 亜美の曲: 「聴こえるかな「もうい~よ!」 / 声が、嬉しい!」
もう一回聴きたいとする真美を察するかのように亜美は「聴こえるかな」と準備しており、亜美の「もうい~よ!」は真美に届きます。そしてお互いの声を喜び合う二人…。
例えばそれぞれが一人のアイドルとしてステージに立つ瞬間も、相手を想って強くなれるのかもしれません。そして再開をこうして喜びあうのかと…。
しかし最後には「爆笑だね」「楽しさ最強!!」とあり、ウェットになりすぎないさっぱりとした関係性!強い。
二人が揃えばいかに最強かということを終始感じられた歌詞、メロディ、リズム、そしてその交換。独立した2曲でもあり、合体して初めて生まれる曲という部分もある。
それら全てを見せつけられた、とんでもない曲でした。
現時点では、フェスにおいてあいにく下田さんのご出演予定はないようです。しかしそれでも。フェスをきっかけにこれらの3曲に巡り会えたことをかけがえのないものに感じます。
そういうわけで、フェスを盛り上げていきましょう、というオチではないのですが、こんなに素晴らしい曲がアイドルマスターにあるということを感じて頂ける文になっていたら幸いです。
あと残りの予習や、もう1曲の考察も頑張ります。
それでは、ここまでありがとうございました。
また、文京区、あるいは眩しい眩しい目指す場所でお会いしましょう。