こんにちは。センケイです。
前から見たかった Poppin'Party について
ようやく現地で見られることになりました。
その人気から察するに
チケットは到底入手できないだろうと考え
(今思うと大変勿体ないことをしましたが、)
これまで応募さえも断念してきていました。
しかしメットライフドームという
4万人規模の大会場での対バン*1。
千載一遇の機会が巡ってきたのです。
現地レポート記事も書きました。
よろしければこちらの是非!
さて一方で、この対バンイベントを受けて、
以下のような興味を喚起されました。
アニメとバンドサウンド、そして
ファッションとがいかに接近してきたかを
端的に表すライブイベントではないか。と*2。
これを考えるため、この記事では、
特にアニメとバンドサウンドとの距離が
どう変わってきたか
その流れを振り返りたいと思います。
ファッションについては、
自分が造詣が深くないこともあり、
この記事内では論点の整理にとどめ、
次回の記事で改めてより詳しく
見ていきたいと思います。
しかしファッションについても、
なるべく参考文献を集約して
楽しんで頂けるように努めます。
まず最初にこのライブの概要を述べ、
そのあと具体的な流れを書いていきます。
はじめに ≒ このライブについて
まず Poppin'Party については、
私のブログをアニメのブログとして
読んでくださっている方には
説明不要かもしれません。
が、念のために挙げるとするなら、
すでにご存じかどうかにかかわらず、
下記の記事で、
楽しみながら振り返れるかと思います。
さて対する出演者である SILENT SIREN。
あろうことかこの機会まで
聴かずに来てしまいましたが、
明らかに自分の好きなタイプの音楽でした。
下記で示しますように、
ここ数年でかなりの勢いで
注目を集めてきているバンドです。
またその特徴として、
SILENT SIREN は「原宿を中心に人気」*3、
そして Vo.&Gt. のすうさんが
宝島社の『CUTiE』のモデルを務めていた*4
ということだそうです。
私事が続いて恐縮ですが、
自分がよく聴いていたような
明るくてテンポの速い女性 Vo. のバンド。
その多くが、
原宿の文化を土台とするような
ファッションリーダー的存在でした。
SILENT SIREN はこの系譜にあるものと
想像できます。
この考えが間違っていないのなら、
自分が兼ねてから好きな音楽ジャンルと、
最近夢中になっている音楽ジャンルとが、
いつの間にか歩み寄っていたという
予想だにしなかった嬉しい展開です。
※ ↓ 2019/05/15 追記 ↓
この記事の以降の議論では、
アニメ×バンドサウンドおよび
アニメ×ファッションの
ほぼ2つの観点のみ考え、
バンドサウンド×ファッションの
組についてはあまり考察しません。
音楽とファッションは、直感的には
明らかに関連性が強く、
かえって論拠を見つけにくいかと
思っていましたが、
『ファッションで社会学する』197 - 198P に
良い記述がありました。
具体的には、
原宿では、裏手のショップが発祥となり、スケートボードなどのストリートスポーツや音楽、DJ などをアイデア・ソースとした「裏原系」が生まれました。
とあります。
時期にもよりますが、
前述の『CUTiE』のファッションは
この「裏原系」と大きく重なるものと
考えるのが自然でしょう。
上で引用したように、
その成り立ちから、音楽との関連性は
自明であるわけです。
↑ 追記ここまで ↑
さてライブ全体の話題としては、
さらに嬉しいことに、
土曜日には Roselia、
日曜日には RAISE A SUILEN の
ゲストアクトの出演もあります。
このことについても
書きたいことは無限というほどありますが、
ひとまずは本筋に話題を戻していきます。
以上で見てきたように、このイベント、
足を踏み入れる前からすでに、
アニメ、音楽、ファッション、ゲーム、
加えて言えば都市や広告との繋がりが
鮮やかに感じられ、
大いに興奮させられます。
まずはアニメとバンドサウンドの話題に絞り
ここ十数年ほどのあいだの
動向の遷移を考えてみましょう。
ところで、
私の Poppin'Party における推しは
市ヶ谷有咲です。
しかし5人全員の大変な魅力、
そしてキャストのかたがたがいかに
果てしない努力の果てに
ステージに立っているかを知ると*5、
1人1人それぞれを推したい欲に
駆られてしまいはしますね。
アニメとバンドサウンドについて
アニメとバンドサウンドというのは、
どのようにして接近してきたのでしょうか。
今回の対バンライブに臨むうえで、
振り返ってみたいと思います。
確かに振り返ってみれば、
自分がよく行った夏フェスである
近年になってぐんと
アニソンシンガーが増えた気がします。
なので、ここで少し、
タイムテーブルを辿ってみましょう。
まず象徴的なのは、
2008 年の UNISON SQUARE GARDEN
参戦でしょうか*6。
ただ、この年と翌年は、
WING TENT という比較的小規模な
会場での演奏です。
対して 2010 年から 2012 年にかけては
PARK STAGE や SOUND OF FOREST など
WING TENT の倍近い規模の中堅ステージへ*7。
あくる 2013 年には、
同フェスで2番目に大きい
LAKE STAGE の出演を果たしています。
アニメとフェスとを架橋するかのような
そのプレゼンスを徐々に高めていく事には
なかなか引き付けられます。
しかしいっぽうこの 2013年、
全体の傾向としては、まだ、
アニソン”も”やるミュージシャンが
ちらほらといる、
といった具合ではあります。
ただ、この 2013年、すでに
坂本真綾さんが出演し始めています。
続く 2014 年は、2013 年では DJ ブースだった
中川翔子さんが LAKE STAGE に出演します。
なお、この 2014年は奇しくも、
SILENT SIREN (当時は Silent Siren)が
同フェスに初出演しています*8。
前述の中堅、 PARK STAGE です。
PARK STAGE です。
大きく変わるのは 2016 年でしょうか。
Aimer さん、OLDCODEX、
この年初参戦しています。
ところで興味深いことに、
この 2016年あたりから心なしか、
検索結果のスマートフォン向けページが
PC と比べてかなり上位に表示されるような
気がしますね。
2017 年は驚くべきことに、
作品内のユニットと思われたワルキューレが
出演を果たしています。
この年は LiSA さんが LAKE STAGEへ。
名前が大文字になった SILENT SIREN も
初 LAKE STAGE はこの 2017年です。
ステージを大きくしています。
ここまで見てみると、
NO GIRL NO CRY への流れが
必然のものに感じられてきますね。
なお同時期の他の夏フェスについても
こうしたアニソンのミュージシャンの出演が
確認できます。
この 2017年、
LiSA さんは Rising Sun Rock Festival に、
さユりさんは SUMMER SONIC に、
OLDCODEX はその両方に
出演しています。
ただし、
そのような傾向はありません。
最後にもう一点振り返りたいのは、
例えば FLOW のように
アニソンの比重が徐々に高まった
ミュージシャンもいる点ですね。
贈る言葉のカバーを歌った頃の
印象が強かったものですから、
現地参加する機会に恵まれた
GRANRODEO のライブイベントで
対バンとして出演すると知ったときは
驚かされました。
ここまで見てきたことを踏まえると、
アニメとバンドサウンドとの
その境界があいまいになり、
互いに融和しつつあると考えるのが自然です。
アニソンの変遷、
ライブパフォーマンスの動向、
特典付き CD と売り上げの関係など*10、
考えるべきことはまだまだあります。
また、このような接近は
ここ十数年に始まったことではない、
という批判も考え得ます。
例えば『アニメ研究入門』の 104P には、
2005 年時点ですでに、
オリコン 1000 位中、148 もの楽曲が
ランクインしている、とあります。
これを踏まえると、音楽市場全体というより
夏フェス、あるいは多くとも
ライブというメディアに限った傾向だと
議論を縮小すべきかもしれません。
ただ、逆にライブの場に限って言えば、
アニソンとバンドサウンドがいかに
歩み寄ってきたか、その確認が
一定程度できたのではないかと思います。
アニメとファッションについて
さて、最初に見たように、
この対バンライブが、多少なりとも
アニメとファッションの接近を予感させるなら、
これについて考えない手はありません。
ここでは少なくとも、
議論の方向性をざっと洗い出せればと思います。
まず考えられるのは、
タイアップ企画の存在です。
『艦隊これくしょん -艦これ-』と三越の
コラボも、すでに現時点で五次まで
行なわれたようです*11。
また、上で少し触れた原宿でまさに、
『KING OF PRISM』とのコラボが
2016 年に行われています。
下記の記事は、大変参考にさせて頂いたのですが、
さらに多くのコラボを挙げています。
アニメの衣装と現実での服装との相性は
やや否定的に書かれていますが、
両者の接近については
総じて肯定的な見解がなされています。
teenssexandwarmode.hatenablog.com
さらに同記事は、アニメ作品の
『巌窟王』でファッションデザイナー、
『言の葉の庭』 や『おおかみこどもの雨と雪』で
スタイリストが起用されたことを
紹介してます。
加えて、
アニメの登場人物のファッションが
現実のファッションに接近した可能性を
指摘しています。
キャラや年齢性格に合わせたファッションのチョイス
と議論されている点も興味をひかれますね。
シンデレラガールズでは原宿を舞台にした
場面もありましたが、
奇しくもこの回は凸レーションの3人が
ファッションブランドとコラボする回でした。
さらにより近年では、
原宿やファッションを取り扱った
『URAHARA』の放送もありましたね。
ただし、ファッションの変容や、あるいは
原宿を含む渋谷区全体の変容についても
考えていく必要があるでしょう。
『渋谷学叢書4』では、
独立系と言われるお店が裏原宿に集積し
これまで展開されてきたものの、
近年では土地代などの条件を原因として
活動が難しくなってきた、とされます。
大手ディベロッパーが管理する領域が
広がった、ともありますね。
あるいは同書では、
渋谷区の代表的なエリアが
代官山や青山、恵比寿などを含む広域圏に
いっそう広がった、という議論も
複数個所で見かけられます。
かれこれ十年程度以上前から、
恵比寿系という言葉が現れたり、
裏原系はなくなったのではないかと
言われたりしてきていますが、
この流れ、そして渋谷区全体の流れは
複雑で全容が見えにくいこともあって
慎重にとらえていきたいところです。
ファッションに対して、
ライフスタイルが重要視されてきているという
議論もあります。
『ファッションで社会学する』では、
前述の CUTiE とは系統の異なる雑誌ですが
有名雑誌である『an・an』が、
その方向性を変えており、
今やファッションよりも生き方の記事を
より多くを掲載していると分かります。
興味深いことに、
上で見た KING OF PRISM コラボの、
その会場である JOL 原宿の施設案内には
一切「ファッション」という言葉が
ありません。
コラボの記事自体にはかろうじて
「ファッション」という言葉がありますが…。
さて、ここまで見てきたように、
ファッションはその場所の固有性の変化と
複雑に絡み合いながら、
かなりの変化を経験しているようです。
SNS の登場による雑誌の位置の変化や、
ファストファッションによる影響も*12
見逃せないでしょう。
この変化を一旦忘れれば、
アニメとファッションとの接近は
それなりに起きていると考えられそうです。
ここで、ファッション誌が
ライフスタイルへの注目を強めているとするなら。
例えば、
その生き方の1選択肢として
アニメとの関わりがあるのではないか。
このような仮説が立てられるかもしれません。
最後に、服というよりは
髪飾りや髪型についてですが、
花園たえが「りみかわいい!」と言ったり、
戸山香澄が「私も気合入れてきた」と
表現したりした、
ライブに備えたファッションを見て
終わりにしましょう。
ファッションについて思いをめぐらせられる
シークエンスです。
アニメ、バンド、ファッション。
全体としては、
それらが互いに接近していることが
示唆されました*13。
文化を彩るこうした要素、
その活発な相互作用を楽しみながら、
NO GIRL NO CRY を堪能したいですね。
それでは、ここまで
ありがとうございました。
また、
所沢市かどこかでお会いしましょう。
参考文献
書籍

社会にとって趣味とは何か:文化社会学の方法規準 (河出ブックス 103)
- 作者: 北田暁大,解体研
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2017/03/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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映像作品
*1:メットライフドームについて述べる各種サイトは、3万人強ほどの数値を記載していることが多いですが、文脈からその数値は球場としての利用時に限るように読めます。アリーナ席使用時は目算するに4万人ほど収容できるのではないかと考えています。アリーナ使用時の座席配置はライブ基地にて
*2:ここで、ロックという言葉は多義語すぎるため意図して避けています。『CONTINUE Vol.58』19P は、A-RISE と比した μ's の音楽を、「バンドサウンドを軸にした」ものと表現しています。ここで恐らく言われているであろう傾向と、以下で述べるものの多くが実際にバンドにより奏でられることを踏まえて、この表現を採用します。
*5:『アニソン・ゲーム音楽作り20年の軌跡~上松範康の仕事術~』
*6:UNISON SQUARE GARDEN | ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2008 | クイックレポート
*7:UNISON SQUARE GARDEN | ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2010 | クイックレポート や UNISON SQUARE GARDEN | ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2012 | クイックレポート
*8:Silent Siren | ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2014 | クイックレポート
*9:https://rockinon.com/quick/rijfes2015/detail/128565)
*10:例えば『僕たちとアイドルの時代』が参考になります。機会を見てまた議論したいところです。
*11:BanG Dream! 同様、アニメとゲームの両方の露出がある作品は、ここではアニメ作品として取り扱います。
*12:例えば『社会にとって趣味とは何か』が参考になります。
*13:ただし、この3つすべてがそれぞれ接近してきた、と主張するにはちょっと慎重にならなければならない点もあります。例えば 前述の ROCK IN JAPAN FESTIVAL において、ファッションリーダー的と言える女性 Vo. のバンドでも、一見、多くのバンドは出演していないように見えます。確かに、その代表的なバンドの1つと言えるであろう SHAKALABBITS は参戦していますが、2005 年に武道館単独ライブをしていることを踏まえると、初参戦 2009 年というのはやや控えめな印象です。