海の音が聴こえた…歩いて沼津まで行った話 前編 川が拓く都市、そして郊外

こんにちは。センケイです。

 

東京から歩き始めて、少しずつ小分けにして歩いていけば。前まで歩いたところまで電車で行ってから続きを歩く、これを繰り返していけば。

いつかはあの街、海の音が聴こえた街、沼津市までたどり着けるはず。

 

その足取りを、せっかくなのでブログにしておこうと思います。

 

といっても、「どういうこと?」「そういうこと?」ってなると思いますので、順に説明していきたいと思います。

 

あれは確か 2021 年の 11 月、季節柄は寒くなっていく中でも、まだ陽だまりにぬくもりのあった日のこと。

 

 

 

はじめはデジタルデトックスだった (〜多摩川大橋)

 

自分の歳くらいになってくると、自分で作っていかないことには、節目とか、努力の理由とか、そういうことを見失いがちで。

「努力の量と結果は比例しません」とは言うけれども*1。無限に努力したとして、ひょっとすると何も得られないということもある…、そういう風に考えたら、どういうことを目指して努力をしたら良いのか、どんな方向性だったら後悔しないですむのか、そんなことを考え始めると、なかなかキリが無くなってしまう。

…そんな日もありますよね。

 

その日も、そういう日でした。ある 11 月のある日曜日のことです。ふとデジタルデトックスも兼ねて、なんとなくそういうことを整理しながら少し長めに歩いてみようというのが始まりでした。

 

じゃあどのように歩くのが良いでしょうか。ただ長く歩くだけなら、ランダムに歩いたり、渦巻状に歩いたりしてもいいわけですが。でも、近所については割とジョギングであちこち回っていたので、近場であまり知らないところにでるのは難しそうです。

それだったら少し離れた所まで行くのも面白いかもしれない。それに、せっかくなら「方向性」を持って歩くのも悪くない。そんな風に思っているうちに、気がつくと、南西の方に足が向かい始めていました。

 

海の道はあこがれの道。海の声に呼ばれたような気もしたし、海を越えたはるか先には好きな街の1つである京都もあるし、何よりもまず、そう、沼津があります。

 

ただ、その 11 月のある日は、まだ海まで辿り着こうなんてことはとうてい考えてはいなくて。この日思っていたのは、とにかく川まで行ってみたいということでした。

川というところはそこに建物がない分だけ拓けていて辺りを見渡せます。だから、ビルの最上階などと比べると見落としがちなスポットではあるけど、結構展望スポットなんですよね。

 

最初は、何となくその日もやもや考えていた気持ちがスッキリするまで、ひとまず行けるところまで行こうと考えていたのです。

でも、南にひたすら歩いてみていた中、このまま南に行けばいずれは多摩川に着くのだろうと思ったら、何かワクワクし始めてですね。それにそしたら確実に晴れやかな気持ちになるだろうと思いまして。

しばらく歩いて、お昼とも夕方とも言えない時間になっていくなか、その中を淡々と進んでいきました。

 

しかし、いつか川に辿り着くだろうと思っていても、想像していたよりもかなり川が遠いです。

行けども行けどもビルの嵐ばかりで、水のありそうな気配は全くしません。ちょっと道の先が見えなくなるたびに、ここを曲がればきっと…と淡い期待ばかり寄せてしまうのですが。そのたびに「ああ、やっぱりまだ違うのか…」と裏切られるわけですよね。人生の縮図?笑

 

そんなことを5回も 10 回も思いながらも、歩くという行為は必ず実を結ぶというのがあるのでそのことを胸に、奮起して続けていきました。

というかまぁ、ホントは街の様子を眺めているだけでもテンション上がるので、大変だとはあんまり思わないし、ちょっと楽しいんですよね。努力する過程では、どうせなら味気があったほうがいい。というか味気のある努力だけが生き残る。これもまた人生の縮図?

 

…そして、歩く行為は確実にゴールが来ます。もうダメかもしれない (大げさ) と思いながらも、最後は必ず辿り着くのでした。

デジデト中だったので端末を持っておらず、写真を取る手段がなかったのですが、夕暮れを間近にして橋から街、そして川辺の緑を眺める感覚は最高のもので、努力には意味があるんだなあと思ったものです。これもまた人生の縮図!

 

 

これが、始まりでした。

今、2023 年でこそ、努力の分だけ蓄積ができるような趣味を──例えば文集の号を半年毎に増やしていくとか、音ゲーでフルコンの曲数を増やしていくとか──が見出せていますが。

何を努力するべきかときどき迷いを感じていたこの頃、やはり歩くこと自体が楽しいというのも相まって、この趣味をほそぼそと続けていきます。

 

 

さて、都市について考えることも趣味の1つなので、ここからは都市の様子を観察した感想なども混ぜていこうと思います。

 

川があると、空が開ける (〜横浜、〜戸塚)

 

2回目は、多摩川大橋のところからです。前回手ぶらで来たのがちょっともったいなかったので、続きから歩く前に少しだけ戻って、まだ空に朝の赤みの残っている様子をちょっと撮ってみるなどしました。

多摩川大橋付近。筆者撮影

 

少し歩いていくと、1号線は川崎の中心街のそばを通っていきます。川を渡る前は、低層というには若干高めのビルが多かったものの、これみよがしな都会、といえる風景ではありませんでした。

いや、そうした中層の建物がのっぺりと且つびっしりと埋められているのは、それこそがまさに都会の表彰と言えるかもしれません。個人的にそうした風景が好きです。

個人的に特に好きなのは、南武線の、県境を何度もまたぐ箇所のあたり。高架と坂のお陰で視点が高く、果てしなくそれなりの都会が続いている様子が一望できるので、観光地というわけではないのだけど、日常の絶景に圧倒されます。たまりません。

…少し脱線しました。

そんな中層の、ややのっぺりした都会から抜け出し、川崎市川崎区/幸区からは再び、これぞ都会という都会に戻る。そんなインターバルが凄く良いんですよね。

秋になって涼しくなっても、ふと真夏を思い出すような日差しの日があるように。凸凹がありながら少しずつ街が平らになっていくその凸凹。この凸凹の長さが首都圏…半径 50 km 圏内に 3500 万人を擁する世界最大の都市圏…の様子を象徴しているようで、とても楽しいんですよね。

 

ただガチの駅前からはほんの少し離れているものですから、ここがピークかしら…?と判然としないうちに、ビルの高さや賑わいのピークは通り過ぎちゃいました。

 

ただピークを越えても、その直後もまだまだ目立ったビルが出てきてて面白いです。川があると特にそれが目立ちます。

新鶴見橋付近。筆者撮影

というか、川のあるたびにパッと景色が開けるのが凄く良いなってことに改めて気づきました。

例えば夜景の名所っていうと高いところから臨む位置が多いかもしれないけど、クルーズ船なんかも夜景が良いって広告されるじゃないですか。つまり水のあるところも良い景観スポットなわけですよね。

 

川を越えて少し歩くと、一旦落ちついてきてのっぺりする箇所があります。

 

ここで、写真は取り忘れたのですが、1号線の上に架かった「響橋」という陸橋のところがかなり面白かったですね。

というのも、橋の上と下で全く街の様子が異なっているのです。

おそらく、橋の上…つまり丘の上…は、もともと丘の上が街になっていたのでしょう。小規模なお店の連なるちょっとした商店街になっています。バスも通っており、旧市街だなといった感じです。

対して橋の下はぶっちょい道路がバーンと通っているので、大きな車屋さんなど、いわばロードサイドという風貌です。

これだけこの2種類の街が近接しているのだから、ホントだったら混ざると思うのですが。交差しているからうま〜く独立したまま残ってきたのかなと。

歩いて旅をすると新しい発見がたくさんあるのだなと改めて痛感しました。

 

ちょっとしたところに花壇が出現するのもいいですね。

新子安付近。筆者撮影

この日は横浜駅までついたら休憩しようと思っていました。

そのため、ラストスパートは線路と並走します。

 

再び都会が迫り、少し遠くにはまた高層建築が見える状態に。

東神奈川付近。筆者撮影

横浜駅周辺だけでなく、幅広くビルが分布しているあたりが、都市としての巨大さを表していますね。

複数の線路が並走しているのを眺めおろせる風景が続くのは面白く、大きな場所に向かっている感じも出ます。足取りが弾みます。

 

この日は午後から 18 きっぷで色々回ろうと思っていたので横浜駅周辺はあまりあちこち撮影しませんでしたが、スピードを落とし始める電車にいよいよ接近を感じさせられたり、駅周辺の立体交差が見えてきたりするのは、いよいよついに横浜まで来たのだという実感を感じさせるには十分でした。この2日めも満足なラストを迎えたという気持ちになりました。

年末間際でもあったので、2021 年、それなりにやりきったな、という締めくくり方ができましたね。

 

さて年も明けて、2022年の1月4日には、サンシャイン!! の劇場版があるということで、沼津市まで見に行くことにしました。行く途中、3回目の歩きをすることにしました。

このあともっと沼津が近づいてきた後は、最後まで歩ききるまで電車で直接沼津にはいくまい、と縛りプレイを始めてしまうんですけどね。なのでこの巡礼を最後に、しばらく「断ち沼津」が続きます。

 

2回めの回では、横浜駅周辺でご飯を食べる散策のために、さいご1号線から少しそれてしまいました。

なので3回目のスタートは、横浜駅から 10 分ほど北に戻って、橋を東口側に向かって渡り、前回最後に1号線を踏んだところまで立ち返ります。

うむ、これも壮観ですね。

横浜駅付近。筆者撮影

次の目標は戸塚です。1号線が駅に近接してあまり回り道をしなくて良いし、横須賀線の駅で数えてちょうど4駅分なので、1回で歩くには手頃であるためですね。

 

保土ヶ谷から東戸塚にかけて。実はこの辺、個人的にちょっと思い入れのあるエリアです。

あれは大学生になって 18 きっぷで遊ぶことを始めたばかりのころ。とりあえず関東の範囲で好き放題色々乗ってみようと遊んでいたある日の夕方。

坂の上に複雑にマンションが立っている様子、その複雑さがあまりに面白く、少しずつ始まっていた夜景が心に刺さるものだったので、それを見て思わずすぐに降りて、散策したことなんかもありました。

 

横浜駅前のビル群から、そういう坂の町へとフッと変化する。そんな瞬間が分かる交差点などもあるということに、3回目の徒歩会であるこの日気が付きました。

次の瞬間の景色が楽しみになりつつ歩いていきます。

そうした瞬間に何気なく目に入る飲食店などから、この場所にも (当然のことだけど) 日常があるのだ、という感覚を得、しみじみとした気持ちになります。

 

1号線沿いに歩いてみるとどちらかというと戸建てが目立ちましたが、坂の上に風景が広がっている様子は同様で、川と公園の向かい側に電車が走っている様子が見える場合もあり、日常の絶景の1つではないかと思いました。

保土ヶ谷付近。筆者撮影

ここから東戸塚にかけての風景も好きなのですが、1号線はここから線路を離れ、権太坂を上がっていきます。

気がつけばここで道路は下りは1車線に。多摩川を越えた頃は上下線とも片側3車線あったかと思うのですが、いつのまにか大通りではなくなってしまいましたね。

このあたりから工場や倉庫も多くなって来、建物の密集度は高いながらもちょっとずつ後背地のけが出てきたのかなと思い、楽しいですね。

 

ところで、建物の密集度はかなりずっと続きます。

この頃はまだ、いかに建物の切れ間がずっと表れないかを知るよしもありませんでした。世界最大の都市圏。その中でも特にこの東海道方面は密集度が高いのでしょう。流石といったところです。

 

一瞬線路に合流する箇所が見えると、戸塚駅までは後少し。

大きな工場の前にバス停があると、ここは通勤に使われるのかな、などと想像が膨らみますね。

 

この周辺は比較的旧街道と1号線が一致しているようでした。

この地図で見て、灰色の線を避けて「にょん」って曲がっている箇所以外は、旧街道と1号線が一致しています。(や、ちなみに、戸塚駅で線路をまたぐところは歩道橋になってるんですけどね。)

戸塚付近。筆者撮影

駅の直前の川、高層建築が水面に反射しており、なかなか良いですよ。

戸塚付近。筆者撮影

 

駅前のスポーツのお店も小洒落ています。東海道を歩くと、東海道ネタに出くわせるわけですね。

戸塚付近。筆者撮影

前述のように、この日はまだ「歩き終わるまでは巡礼しないぞ」という縛りはしていなかったので…というかこの日 2022/01/04 のメインの目標は劇場版を沼津駅前で視聴することだったので、この日はここから電車に乗り、現地へ急ぎます。

や、何度見ても素晴らしい映画でしたね。「場所の意味」みたいなことをしみじみ感じることもできて。

思わずバスに飛び乗ってしまい、三津浜に駆け出てしまいました。

三津浜に沈む夕日。その後少し歩いて、あわしまマリンパークの入り口付近を照らす日の名残り。いずれも大変素晴らしいものでした。

ここでは何となくまだ掲載しませんが、またいずれどこかで公開します。

 

続いていく陸地、いつか見える海 (〜茅ヶ崎)

 

さて、だんだん調子も出てきて、習慣化されてきた第4回目。このままのペースなら、あるいは京都や大阪まですぐ行けちゃうんじゃないか。なんてね。

 

実はけっこう大変だったのはこの4回目。

第一に、何となく1号線沿いに行くのをルールにしていたはずだったのだけど、途中から歩道がなく実質高速道路になってしまってしまい…一応無料で 60 km 制限の普通の道路のようです…ここでルールを一部断念。歩道の始まりを探索するために余分に歩くなどし、体力を奪われました。

第二に、1号線や旧街道が電車からかなり離れるので、万が一膝が痛いとかになっても、途中で降りられません。覚悟が必要な経路ではありました。

第三に、辻堂までくればかなり線路に近いのだけど、それでもちょっと距離があって何か勿体無い気がするし、それに海まで行こうと思うと辻堂は多少遠いです。海まで行ってみよう!っていう思いに一番答えてくれる拠点があるとすれば、もう1つ先の茅ヶ崎…。そこまではこの日のうちに行ってみよう、と。このこだわり、ひと駅分だと思ってナメてたら、その最後のひと駅分が困難だったのですよね。

 

ともあれ、最初は結構勇み足です。

戸塚駅前は百貨店も多く、久々に繁華街感を味わって気分が高揚し、そこから少しずつまた住宅街に戻っていく落差も興味を惹かれて楽しいです。

このあと1号線は丘の上に出るので、見通しも良かったのですよね。

 

写真だと小さく見えますが、交差点などでは結構な迫力で富士山が見えます。こないだまでよりかなり近づいてきていますね。

この辺りを歩いているかたがたは富士山の姿を珍しがるご様子でもなかったので、きっと日常的に見ることができて、富士山は身近な存在なのですね。ちょっと、良いなぁと思うなどしました。

善行周辺。筆者撮影。

さて、歩道がなくなってしまうのはこの辺りからです。ひとまず旧道…これしか歩く道が無かったので歩いていたら、それがちょうど旧道でした…に退避です。

 

ちょっと歩いたら歩道が復活していないかと様子を見に行ってみたのですが、しばらくダメでしたね。まぁ長い道のりにおいては当初の計画から変わることもある、まるで人生だ、などと思いつつ、気を新たに旧道を進みます。

様子を見に行って歩道が無かったときも、それをやったからこそ見えた見通しの良い景色もありましたね。富士山もある!

善行周辺。筆者撮影。

少しの間、それほど意外性のある景色は出てこず、地道に歩きますが──や、今思えば意外性が少ない景色になったこと自体が、ついに都心の重力を離れて一軒家の目立つエリアになったあらわれであって、それ自体面白いですね──歩道がよく整備されて歩きやすく、ぼんやり考え事をするのを楽しみながら淡々と歩きます。

 

小さいながらもふと川が現れ、ちょっと東海道みのある橋を渡ります。

藤沢付近。筆者撮影

旧道は藤沢駅からは離れているので、このままほぼ住宅街が続くのかなと思っていましたが。

ところがこのあとは意外にも、お店も多く小洒落た感じのストリートになっていきました。観光地と言っても良さそうな雰囲気。

残念ながらいい写真を取り忘れてましたけどね。

藤沢駅からは遠い代わりに、藤沢本町駅があるためでしょうか。旧市街、その活気が温存されている、といったところですかね。

 

旧道は 467 号線に沿って折れ曲がり、少し陸地側へ戻りつつ藤沢本町駅間近へ抜けていきます。

また1号線が近づいてきたので、伊勢山緑地を渡って少し様子を見に行ってみましたが、まだでしたね。

旧道の方は何となくまた普通の住宅街に戻った感もありましたが、お店がぽつぽつありつつバスも通っていて、いかにも旧街道だという様子を見せているところが面白かったですね。

 

結構景観の移り変わりがあったので体感結構速く進めた感があり、気がつくともう辻堂の地名が見え隠れします。まぁ、「これももうひと駅分行ける!」という慢心の遠因になったのですが笑。

気付いてみると1号線もバイパスから分岐し──バイパスは今度こそほんとに有料になってしまうみたいで、その代わりにバイパスでないほうは歩道を伴って街の方に出てくるのですね──国道に沿って歩くという元のルールに戻れて、ちょっと座りが良くなりました。

街中という感は維持しつつ、何となく緑も多くて心地よい道です。

調子に乗ってこのまま茅ヶ崎を目指してしまいます!

 

バスの通るような道ではあるけど歩いている人は少なく、高校と街の関係性なんかも自分の田舎に似ている感じがして、郊外というよりは地方という様相かな、と感じられる光景です。

ただここまでのところまだ、建物がすっかり切れてしまうような瞬間はなく (例外的に土手のおかげで建物が見えづらい瞬間はありましたが)、やはり首都圏の延長線上なのかなとも思われました。自分の田舎とはどこか違う秩序が、ここには多分ある。

郊外のような地方のような、どちらとも取れる独自の風景や感触。これこそ、歩いてみないと分からなかった典型的な体験の1つですね。

 

このあたりから、膝や足首、それと背中やお尻なども急激に痛くなってきます。どうやら2時間半歩くのと3時間歩くのとでは雲泥の差のようで…そこに分岐点があったのか…や、歩くのって運動なんですねぇ。

 

しかし、しんどかった分、見えてきた景色はより心を打つものになりました。

遂に来たのだ、という感で満たされ、駅前の建物にテンション上がっています。

 

映り込みしそうだったので取り立てて写真を撮っていませんが、駅に向かうペデストリアンデッキも小綺麗かつ活気があって楽しかった記憶があります。

 

駅を抜け、ちょっとキラキラした感じの南口の繁華街で食事を済ませて、海までもうひと頑張り。

そして…

 

茅ヶ崎付近。筆者撮影

海だ〜〜!!

 

なんやかんや言って、海の気配をさほど感じない自宅付近から、ここまで海をめがけてたどってきた構図になるわけです。

50 km とかそういう規模感で歩いてきた先に見る海の輝き、青の深さたるや。

 

ひとまずここまでのところで大変満足したのですが、目指すところはまだまだ先。や、だからこそやり甲斐があるんですけどね。

夕日の沈んでいくあの水面の目映さを見るまでは終われません。旅は続いていく。

 

 

振り返りと、ちょっと考察

まだまだあの街は遠いのだけれど、色々なことに気づいて面白かったので、少し振り返りましょう。

大づかみには、高かったビル群が少しずつ平坦になっていくという旅路。

電車で見る景色では、ターミナル駅や急行停車駅が出てくると、一瞬都心にも劣らぬ高いオフィスビルやマンションが出現するのが良い起伏を作っていました。これに対して、道路を歩くと駅のすぐ脇を通るとは限らないので、それほどはっきりとしたアップダウンはなかったのですが。それでも何となく栄え方がやんわり取り戻される瞬間、その間接的な感じがこれはこれで心地よかったです。大きな拠点の「すそ」もほんのり都会なのだ、という感じが味わい深いのかな。

 

道路を歩くと線路とはしばらくサヨナラしている区間もあるので、そういうところはまだ都心から離れていないなりにも「郊外」感が出るのですが。郊外感にも色々あるのだということに気が付かされましたね。

そのうちいくつかは、片道最低二車線はある大きな道路が作る郊外感。それも1色だけではなく、さらにいくつかに細分化できると思います。

1つは、大通り沿いがむしろ人々の生活の中心になっており、自動車やさんだけではなく、ロードサイドの飲食店や小売店が目立つ景色。看板のカラフルさから、さしずめ「赤い郊外」と言っておきましょうか。

2つめは、大きな道路があるもののおそらく人々がこれを通り抜けるだけために使っており、路肩には工場などの職場ばかりになった郊外。これは駅から歩けない距離になると、急に現れてくる印象があります。白く清潔な壁の色に包まれたこうした風景は、「白い郊外」としておきましょう。

3つめは、道路が片側一車線になり、かつ路線バスが走っているような場合にありがちな郊外で、コンビニなど、比較的小型の小売店が並び、車の人が多いものの、歩きや自転車の人…特に高校生かな…も少なくないというものです。こうした道路はよく並木道を伴っているので、さしずめ「緑の郊外」としましょうか。あれ、クリスマスっぽくなったな。

 

赤、白、緑の郊外は、よく考えると、地方都市で見られる風景とあまり差が無いようにようにも感じられます。たぶん何となく分かるほのかな雰囲気の違いはあると思うのだけれど。

ただ1個自分にも分かる決定的な違いがあるとしたら、郊外は地方都市の風景と違い、ひとかたまりの大きな田/畑/林の現れるところが全くない点ですね。意図的に配置された公園を除くと。

つまり、一目で見通せる小ぶりの田畑などを除くと、建物が切れ目なくずっとびっしり続いているわけです。少なくとも茅ヶ崎までは。文字通りの「コナーベーション (連続都市)」です。

さて、では東京の都心から一体何市まで連続都市として繋がっているのか。東海道メガロポリスと言うけれども、多少は切れ目があるはず。次回、この答え合わせが登場します。

 

それでは、また果てしなく続く道のどこかでお会いしましょう。ここまでありがとうございました!

*1:ご存知、1期6話のセリフです。