μ's は幻なんかじゃない

 

μ's がもう一度見れる日が来るなんて、

フェスが開催されると知った日であっても、

チケットを手にしたと知った日であっても、

依然、信じられずにいました。

 

千本浜の夕涼みのなかで見た

e+ からの通知に大いに喜ぶも、

それが本当なのだとわかるまでには

まだ数か月の時を要しました。

 

そしてあの、 2020年1月19日が

ついにやってきたのです。

 

それは2日目日曜日の、

言ってみれば中盤のなかでしょうか。

 

後から伺った話によれば、

プログラムの大きな構成は

1日目と入れ替わっていたそうです。

 

しかし、

その時間までにすでに何があったか、

そのあとにどれくらいプログラムが

残っているのかさえも

すっかり意識から消え去るほど、

あの瞬間はあの瞬間に

心を奪われていました。

 

私がラブライブ!を好きになり始めたのは、

スクフェスがきっかけでした。

 

それまで音ゲーはというと

DrumMania など筐体のあるものがメインで、

スマートフォン向けの音楽ゲーム

はまるイメージを、

初めから持っていたわけではありません。

 

しかし、知人がやっていたのを見て、

少しやらせてもらったりするうちに、

その流れる曲調に吸い込まれていきました。

 

それがあの、

僕らのLIVE 君とのLIFE』です。

 

このイントロが聴ける日を、

いったいいつ想像できたでしょうか。

 

私がハマり始めた 2015年、

アニメというよりはアニソンに

熱を入れていた私は、

すぐさま当時出ていた最初のベスト盤を

レンタルしてきて聴き始めました。

 

嗚呼、

これほどに体を熱くする曲たちがあったとは。

これを聴いてもっと仕事がしたい。

これを聴いてもっと活躍したい。

・・・こんな曲がライブで聞けたらいいな。

 

そしてちょうどその頃に

5th ライブがあったばかりだと

知りました。

 

次のライブがいつなのか分からなくても

またきっとある、と期待する一方、

あまりの人気でチケットが取れないという

評判を耳にしており、

漠然と嫌な予感が立ち込めてきます。

 

そして劇場版。

こんな映画を見られるのは最高だな、

と思う一方で、

嫌な予感はさらなる影を落とします。

 

もしかしたら、

もしかしたら、

次のナンバリングで最後かもしれない。

 

・・・そしてその秋に発表された

ライブのタイトルに、

「Final」が冠されました。

 

あの日から次の春を迎えるまでに、

いくつもの公開があります。

 

まず、劇場版の BD を買わなかったこと。

 

当時は生活に余裕もなく、

当たらないかもしれない賭けに

お金を出せないためらいがありました。

 

それでもこれほど後悔するならば。

お金はこういういざというときに

使わなければならないのだ、と

大きな教訓を得ました。

 

そして何回かの選考抽選で

あえなく敗退したあと。

 

一般発売日の日にもいくつもの

ミスをしました。

 

この日の前日、忘れもしない

2016年2月10日は、

初めて『[新編] 叛逆の物語』を

借りてきて見ていました。

 

あまりの良さにその夜2回、

そして翌日2月11日朝にももう一回と、

繰り返し鑑賞していました。

 

忘れていたのです、

その日が10時から一般発売だと。

 

もちろん、作品に罪はありません。

この日この DVD と巡り合ったことに

感謝するほどです。

 

急いで気を取り直し、

PC に複数のブラウザ、

そしてスマートフォンには

e+ のアプリを導入して、

何度も問い合わせをし、

ダメならもう一度、と繰り返します。

 

スマートフォンのほうが

競争が激しくなかったのか、

ついに、ついに申し込み画面、

残席が△印が映る画面へと

到達することができました。

 

希望人数と希望席を入力し・・・

 

ああ、なんということでしょう。

ID とパスワードを、

メモを見ないと思い出せません。

 

最初からログインすればよかったのに。

 

探し出しようやく入力するころには、

悲しきかな、

画面はセッション切れの通知へと

進んでしまっていました。

 

画面越しのものとなった

僕らのLIVE 君とのLIFE』は

それでもなお美しく、

私の中に複雑な気持ちを運び込んでいました。

 

でも、見られないなら仕方ない。

仕方ないと、何度も何度も割り切ってきた、

そのイントロです。

 

あのイントロが、今、流れている。

 

こんな瞬間が、

人生にはやってくるんだ。

 

9人が足並みをそろえるその美しさ、

周りの観客の皆さんが

それぞれの9色を応援する光の色は、

たとえようもない風景でした。

 

こんなキラキラが好きだった。

 

そんなキラキラを昔の思い出として聴き

努力をしてきたこの4年間も、

この日、救われた思いでした。

 

この時、

推しである園田海未の色を

全力で振っていました。

 

しかし、

応援したい気持ちというのは複雑で、

様々でもあります。

 

あの春の東京ドームでは、

実に40曲超が披露される中、

キャストのかたとして新田恵海さんの

堂々たるパフォーマンスに心を奪われ、

これまでの底なしの努力を想像し、

だんだんとオレンジで応援したい気持ちが

芽生えてきていました。

 

実際、終盤のいくつかは、

色をオレンジに変えて振り、

その頑張りに届いてほしいという想いを

胸に秘めていました。

 

しかしあの日バルト9から見た

画面越しの東京ドームへは、

その光を届けることはかないませんでした。

 

もちろん、5万5千人が詰め寄る中で、

私一人の色が加わったとて

大きな変化は生まないでしょう。

 

・・・それでも、それでも、

実際に届かないなんていうのは

あまりに寂しいじゃないですか。

 

だけど今日は違う。

私のペンライトの色が、

見えるところに位置しているのです。

 

つい最近の、

声に関することもラジオで伺っていたので*1

なおさら応援したい気持ちが

ふつふつと高まっていました。

それがなんと今、できるのです。

 

色についてはもちろん、

三森すずこさんも何度もソロライブに行くほど

ファンですし、

ほかの7名あるいは14名のかたがたについても

応援したい気持ちがたくさんあります。

色の選択というのはいつでも苦渋の選択です。

 

そのようにあれこれと考えをめぐらすほど、

長く感じられた幕間が過ぎました。

始まるのは、

アニメメドレーという曲のラインナップ。

 

これはフェス以降から振り返る話ですが、

わずかながら2015年にパシフィコ横浜

見ることのできていた

僕らは今のなかで』『No brand girls』。

これらを後日ウォークマンで聴いたとき、

あまりに力の源になるのです。

ずっと好きだったこれらの曲は、

もう一度タカラモノになり直したんだな、と

強く思えたのでした。

 

そして『START:DASH!!』。

はじめは数人しか観客のいなかった体育館は

やがていっぱいになり、

ついにはこの SSA をいっぱいにした。

そんな想像が頭をめぐっていきます。

 

このあたりから感情を堪えきれず、

唇を食いしばるようにして聞き入っていた

記憶があります。

連番のかたには少しだけ申し訳なく…笑、

この場を借りてお詫びさせてください。

 

それは僕たちの奇跡』。

別れへ向かうからこその輝き。

Final の別れが永遠でなかったことへは、

確かに賛否両論がありました。

しかし、こうも思うのです。

永遠でない別れ、しばしの別れでも、

次に会えるかもしれないときまでと比べ

この曲の「今」はあまりに一瞬で。

その閃光のような一瞬は、

永遠といえるほど胸に焼き付くのでした。

 

ユメノトビラ』。

サンシャイン!! の放送を経て、

遠い過去がさざ波の中から囁くように

聞こえ始めたこの歌は、

もう一度「探してる」今のなかへ

舞い込んできました。

 

これは連番さんのご指摘ですが、

「誰もが」探しているのですよね。

 

これを聴くまでの4年の間、

私たちファンもいろいろなものを

探し続けてきたものと思います。

 

自分の仕事も生活も、

あれから大きく変化しました。

 

ゴールなどはないかもしれません。

だから探し「てる」のでしょう。

 

力強く生き抜いていく彼女たちの

姿そのものが、

私たちを応援するものに思えて。

 

歩き続けていく遥か未来のことを、

ここでまた思い描くのでした。

 

 『KiRa-KiRa Sensation!』。

この歌を聴くことを、

どれほど待ち望んだでしょう。

「ついに一緒に来た」彼女たちを

いつか見たかったと思いながら。

 

あるいはひょっとすると、

もう一度、一緒に来るまでの時間は、

5th で SSA に辿り着くまでと

同じくらい努力を要するものだったのかも

知れません。

 

ようやく再びここに辿り着いた。

その雄姿の美しさ。

それを見られるうれしさ。

メドレー用のサイズとは言えない

濃くて長い「今」の時間でした。

 

 

そしてメドレーのあと最後に行われるのは、

Snow halation』です。

 

東京駅前を横切るたびに

ほんの少し感じた寂しさも喉元をすぎ、

ようやく割り切り始めたころに、

やってきた今なのです。

 

オレンジに色を変えられる喜びが、

自分のもとにやってきたのです。

 

2015年のパシフィコを去るときは、

炎のように赤い夕焼け空は美しく、

あのときの寂しさを飾りました。

しかし、本当にありがたいことに、

あの寂しさが μ's の最後の思い出にならず

また未来を作ったのでした。

 

作られた未来に向けて、

また何度でも夢に向かいましょう。

 

 

参考文献:

 

作詞・作曲 甲本ヒロト、『夕暮れ』 実演 THE BLUE HEARTS (1993) AMDW-6102

 

 

ドラゴンクエスト―ダイの大冒険 (36) (ジャンプ・コミックス)
 

 

 

作詞 畑亜貴、作曲・編曲 佐伯高志ユメノトビラ』 実演 μ's (2014) LACM-14241

 

 

作詞 畑亜貴、作曲・編曲 本田光史郎KiRa-KiRa Sensation!』 実演 μ's (2014) LACM-14243

 

*1:このラジオのアーカイブは今確認できなかったため、ほぼその要約であるキサラさんのツイートのリンクを貼ります。