海と太陽の接合は、過去と未来が接し合う場所

こんにちは。センケイです。

参加を諦めたライブや参加できないでしまったライブ、ついぞ存在しないでしまったライブなど、私たちはきっといくつものいくつもの悔しい思いをしてきたものだと思います。

埼玉県には、そんな私たちの悔しさが幾つもあって。とうとうこの場所、所沢市に私たちはやってくることができたのです。


最初に私は一つ謝らなくちゃいけないと思います。社会に対してごめんなさいと。それに何様なのかという偉そうさでごめんなさいと。

というのも入場するやいなや、やっと一杯になったこのドームを見て、ついに音楽が取り戻されたその様子を見て、第一声で自然に出た言葉は「みんな Aqours を好きでいてくれてありがとう」だったのです。

まだ何も始まっていない会場で、音楽が活きていたこと、Aqours が変わらない人気アーティストであり続けていること、そのことで胸がいっぱいになりました。

もしかしたら人類が音楽を取り戻すには少し早すぎたタイミングだったかもしれない。そのことが少し気を咎める。完全に自分の振る舞いを肯定でききれない思いもありますし、聞いてなかったので、えっその判断で良いの?という懐疑も正直ゼロではない。

それでもなお、素直な気持ちとして最初に出てきたのは、その感謝だったのです。これはきっと、両立できる感情なのだよな、と。それに、これまで運営さんが身を切って苦しい思いをしてきているに違いないから、少しでも私たちが潤う手助けをできているのもまた嬉しくて。



どの曲も語りたいことばかりなのですが、今まで感じたことのないような気持ちになり、そのために今までとはまるで違う人生が始まったように感じさせられた圧巻の流れは、個人的に、PURE PHRASE から始まったのを記憶しています。


実を言ってしまえば先の 10 月の CYaRon!に参戦したとき、あのとき Aqours が帰ってきた!という一撃をすでに食らっていて、今までで一番幸せなライブだった…という想いを得ていました。まるで、足元から異次元に飛ばされるような。

だから、新しい一番までは行かなくても、最高!とさえ思えたらそれで十分とは思っていたんです。しかし、公式さん、キャストさん、スタッフさん、やってくれましたね…。


装いだけでなく、弾みつつも上品な足取り、そして景色に目を輝かせるようなご表情で、旅人そのものという登場をされた逢田さん。Marine Border Parasol で分かっていたことではありますが地声での伸びが素晴らしく、優雅さとも重なって、まずい、推し変してしまいかねないと思わされたほどでした。


これもまた奇妙なタイミングで、そうはさせないとばかりに伊波さんのご登壇。なんという鮮やかなスティックさばき。歌ともセリフとも言える箇所の情感たっぷりの抑揚。役者でもいらっしゃるところを全力でぶつけに来ている…!たまりません、参りました。


ここに来て、歌でもダンスでもいつも大変な機敏さを見せつけてくださる朱夏さん。しかも髪色や髪型までも寄せてきてらっしゃる…!その軽やかなダンスは、ゴリゴリの重たい曲だけでなく、こうしたポップかわいい曲とも見事に共鳴していて、またとてつもないものを見せられてしまいました…。


この圧倒的な並びのトリを飾ってくださる小宮さん。改めて思えば、和装が似合われているところも、華やかさと存在感を持ってらっしゃるところも、ダイヤちゃんと共通しているところで。どちらだと思って見てもそれぞれに心を打たれ、その絶妙な重なりに、そして剣技の優美さにただ立ち尽くすしかありません…。
あと、OCEAN の記事で書き漏らしましたが、DREAMY COLOR での小宮さんの存在感、良いですよね…!



ここまででもう今日は本当に良かった、となってしまいかけたところですが、まだまだ、楽しみにしてきた昔からずっと好きだった曲を見ずして納得してしまうのは早いです。しかしまさか、あのような怒涛の展開になるとは…。

Aqours Pirates Desire。待っていました。この曲はね、見る所が多すぎて前回ちょっと悔しさが残ったんですよ。1名1名のそれぞれの旗の振り方が良すぎて目移りしすぎてしまい。次に見るときにはちょっと気持ちを落ち着けて、朱夏さんの大きな旗を終始しっかり見ようと決めていましたが、念願叶いました。力強くも可憐でもあり、決まった…!


衣装、照明、ダンスが見事に噛み合う名曲 Daydream Warrior。バンテリンでは無かったので今回も無いかもしれないな、と覚悟を決めていたけど、ここでは続いてしまいましたね、スリリング・ワンウェイが。


Daydream Warrior もですけど三塁側だったこともあって個人的には、スリリング・ワンウェイのほうがさらに小林さんの美麗なダンスに心奪われる形になりました。青空Jumping Heart のジャンプの高さもそうですが、そのスタミナにも驚かされ、比類なきクールさで、虜になってしまいます。

また、やはり三塁側の特権か、愛奈さんのダンスとジャケットの調和具合い、そしてやはり歌唱力に心を撃ち抜かれます。その歌の表現力は随一なのか、やはり青空Jumping Heart などでも気付かされるように要石のようなパートをやってらっしゃいますが、この激しいダンスでもものともしないばかりか一層表現豊かにされている所が、あまりに良くて。

そして9名で大きく広がって行われるスリリング・ワンウェイのなんと勇ましいこと。会場をいっぱいに使って9名でやられるこの曲は実は初めて浴びることができたのですが、こうして家で思い出すだけでも鳥肌が全身を駆け巡ります。

それに、後でもう一度書きますが、仕事で日々挑戦しているようなことも、今までも頑張ってきたつもりだったけどもっともっと奮起できるな、とふと。こんなにあふれそうな想いを見せつけたら、ね。


で、ちょ…この勢いで来てさらに HAPPY PARTY TRAIN を見せてくれちゃって良いんですか?

皆さんのお話をお伺いする限り聴くたびにいっそう泣けるようになるこの曲は、線路をはるばる来る旅路のように、ときが経てば経つほどいっそう多くの想いを乗せていきます。車窓に向けた切ない表情を見るとき、これまで生きてきた人生が長くなればなるほど、遠く色々なことが思い出されるようになっていって。

ソロパートのななかさんもまた、やってくれました。やはり回を重ねるたびに、よりいっそう堂々と、洗練された形で、歌を投げかけてくださって。花道のネオンの部分がエメラルドに輝いていく演出は今までにもあったはずなんだけど、今日ほどスッ…と心に染み渡ってきたのは初めてで。
息を呑むその景色とパフォーマンスに、この辺りから、だんだんと足さえ宙に浮いてしまうほどの得も言われぬ気持ちへと突入していきます。


ここに来て…えっ本当に良いんですか!?これもまた OCEAN で無かった時点で諦めてた大好きな歌、届かない星だとしてもを聴けてしまって。

この曲が好きだと感じる理由もまた際限がありません。ずっとずっと大好きだった μ's もまた存在しているって言ってもらえている気がしてくるし。でももう Aqours もすっかり雲の上のトップスターで。その実力、華麗さを持ってしてこうしたビリビリとするようなアッパーをやってくれるときの、ハマり具合、そして牽引力ときたら。
それにピュアで元気な元々の Aqours らしさも大事にしてくださっているということ。それに、星を追いかけているうちに夢を現実に、イマにしていっているということ。それに、そんな今でもまだまだ決して妥協をせず、さらに手を伸ばし続けることを意味している歌だったとしたら。

それにこれもまた、大変に自分の仕事を励ましてくれる曲だと感じました。仕事において、やっぱり滅多なことでは「星」に手が届くわけではないんです。でもいつか届く日がくるなら、と。手を伸ばし続ける意欲を、ここでもまた鼓舞してもらいました。



ここまで骨抜きにされてくると、幕間の未体験HORIZON もいっそう沁みるものになってきます。前にも書いたのであまり繰り返しませんが、夢の形がたとえ変わっていこうとも、頑張り続けることはできる。それをこうして支えてくれているのが、Aqours なのですね。



や…。これでもかと畳み掛けてきて、さらに 青空Jumping Heart なんですって。

曲順の流れも綺麗すぎます。始まったばかりのキモチをこうして歌ってくれることの意味をしみじみと考え、恍惚とした意識が身体に満ちていきます。しかし大変スピーディな曲でもあるから呆然としている暇もなく (それもまた恍惚の一因なのだけど)、その揺さぶりに感情がしっちゃかめっちゃかになっていきます。そしてラスサビ直前に夜空に溶け込んでいく、一瞬の静寂…。これだ、これこそが Aqours のライブである…と。


さらに、まさか…Wake up, Challenger!! がこれに続くのです。伝統的でストレートな全曲に対し、直近数年でのコアなダンサブル曲を突っ込んでくるとは、またしてもやってくれましたね。
Aqours の曲全般に言えることですが、起こるできごとを確率的なものとした上で (Marine Border Parasol の「潮風が知ってる」などが典型例だと思います)、それでもなおその不確実性に向かっていこうという姿勢が、本当に激励してくれるんですよね。複雑で、次にどうなっていくか予想のつきにくい社会ですから。
だから「チャンスは気まぐれ」「失敗だって準備運動」といった言葉が本当に好きで。そうした言葉を聞くにつけ、先の分からなさを恐れずに大胆に、あるいは楽しみながらやっていこうという気持ちがまた温め直されます。


その先に待っているのは、典型的には、ゼロをイチにするということ。

不確実な日々/社会だからこそ、これって一番難しいことだと思うんです。1を 10 にするというほうが、途中経過から学習しやすい。2になったり、3になったりしたら方向性が間違っていないと分かるし、3から2に戻ったら、間違えたので道を変えようって判断できる。
でも、0から1にするステップでは、そんな途中経過が見えないのが普通なんですよね。
何をやっても0のままだったとき、どの方向が正しくて間違いだったのか、何も学習できない。もしかしたら今までの選択肢の中で正しいものが既にあって、ただ1になるまでに時間を掛けなきゃいけないだけなのかもしれないし。でもそうやって難しいからこそ価値があるのかもしれない。だからこそ「刺激を求め」ることができ、「綺麗なハナ」にできるのかもしれない。

そんな Step! ZERO to ONE。実はやはりチケットを当てることができなかったので、先日1月に映画館にて初視聴したのですが、現地ではなく映画館で見ていることが信じられないくらいにとても良くて。Step! ZERO to ONE 自体は 4th で浴びることができていたのだけど、この劇場版視聴での感動を通じて「現地で浴びたい!」という気持ちが熟成されてから改めて見られることが感無量だったのです。
TL では今回のライブは 2nd や 3rd を感じたと伺うことが多くありましたが、自分としてはこの 1st との重なりもしみじみと感じられるものになりました。


ほんらいのライブ1回分の満足といったものを遥かに通り越したところまで来てしまいました。今日まで生きてきて良かった、と。あと2曲だと聞いてイヤといえばイヤだけど、同時に思い残すこともないな、と。呆然と涙x に酔いしれます。「もう二度とはこない」、それで全然いい。だからこそ良い。こんな時間をありがとう。


だから、こんなにトドメを刺しにこなくてもいいですよね、WONDERFUL STORIES さん!?
…ずっと、ずっと待っていました。

2018 年秋に最後に 4th でこれを聴いて、あれから沢山のことがありました。2019 年 3 月 3 日のファンミで力を貰った私は、そのおかげで翌日 3 月 4 日の入社試験にて念願の今の所へと来ることができ、あれからほぼ 3 年後の 2022 年 3 月 5 日、あるいは 6 日に今います。

丸3年、ちょうど3年生3人が入学してから卒業するまでの時間を過ごし、もうすぐ次の桜の季節を迎えようという中で、自分は果たして胸を張って毎日納得のできる時間を過ごしてこれたと言えるだろうか、と。自分は (一部 Aqours のおかげもあって) 後悔しない性格ではあるけど、過ごしてきた時間を全部納得できているかというと、やはりというか、その自信はありませんでした。全力を出しきれなかったとき、勉強不足だったとき、出過ぎたマネをしたとき、決断が遅かったとき、メンバーの中で消極的に動いてしまったときなどを背負い、そんな自分の日々は輝いていたのだろうかと。

…や、疑ってごめんなさい。僕が間違っていました。「過ごした時間の全てが、それが輝きだった」んですよね。また忘れかけていました。そして、思い出させてもらいました。曲がりなりにも駆けてきた時間には、全部意味があるんですよね。それは確かに気づきにくいものではあるけど、後から振り返ればまた意味が見えてくる、と。
そして3年間を振り返り納得した今、その今にまた未来がやってきます。やっていきましょう。またもし納得できない思いを抱えるようになった未来の俺氏は、この記事を見なさい!


また、思えばこの WONDERFUL STORIES は、そうした意味で、過去と未来の境界になる曲なのかもしれません。

最近みやさんの #22 未体験HORIZONから歌われてきた「境界線」と6thライブとの繋がり - みやのひとりごと という記事を拝読して、いたく心を打たれたのは、このライブの OCEAN、SUNNY を含め Aqours の歌で境界が描かれていたというお話です。
日が水平線をまたいで昇り沈むという点から、その境界は時の流れをも表現している、というふうにも分析してらっしゃいます。

ということは、WONDERFUL STORIES において過去を括ることもまた、その括る瞬間を過去と未来の境界として定めることなのかもしれません。

これを聴いたあのときからずっと、自分自身の時間はきのうあのとき始まったばっかりだ、という想いが駆け巡っています。


愛知では夢中になるあまりすっかり忘れていたアンコール時の配色。今回はちゃんと意識的にやっていきますよ。

それができたこともあってか、会場が少しずつ虹になっていくさまを、じっくりと見届けることができました。そして、言ってみれば遠い席ということでもあるのだけど、ドーム全体が見渡せる後ろの席だったこともあって、あのとき以上に、虹の一部になった想いが体中をひたしていきました。それは Aqours が帰ってきたということでもあり、私たちが帰ってきたということでもあるのかもしれない。私たち Aqours のファンがここにいるということが、ただ嬉しくて。

ファンでさえこうして崩れそうになるのだから、ましてキャストさんたちはどのような想いで再登壇されたことでしょうか。愛知で涙を抑えて歌い遂げられてらっしゃった降幡さんのパフォーマンスが思い出されてきます。
降幡さんもまた髪型や髪色を寄せてらっしゃるために、降幡さんもルビィちゃんもそこに居るという感じがありましたが、さらにご自身の表現の幅広さゆえか、一人のルビィちゃんの中に重層的に人物像が重なって、いっそう奥ゆかしくリアルな一人の人物として描かれている感じがし、とても胸を打たれました。

そして会場の虹。やっと集まることができた私たちに対して「ひとり? じゃない!」とこの瞬間言って頂けること。それも、キャストのかたがたとしての、そして人物としての両方の言葉で。その1つ1つに意味を感じます。そうした言葉がいつでも支えになる、って。

星のようなドームの光をうっとりと眺められる時間も残り少ない。そんな想いを払拭してくれるような、濃厚な濃い時間がゆっくりとゆっくりと進んでいきます。


最後は明るく元気に、SUKI for you, DREAM for you!。しっとりと閉められるのではなく次の希望に向かっていくようなこの大トリから、ああ、私たち人類の音楽がこれから始まっていくんだ、という想いがまた引き出されました。

好きという気持ちがあれば頑張れる。もちろん現実問題好きではない作業だって沢山あるけど…、なんてモノローグさえも吹き飛ばすこの曲の勢い。大丈夫。好きな音楽を心に持っていれば、きっと乗り越えられるんだよと、そう言われた気がしました。

ここでもまた9名が会場全体に広がる力強さ。私たちのエリアでは高槻さんが場を最高潮にしてくださいました。ダイナミックでありながらも凄く細やかな動きをしてらっしゃていて、改めてずっとついて行きたい!という気持ちが溢れてきます。
何というか、その「この場所は任せてくれ!」という感じといいますか。9名が揃うことでこの広い会場が支えられる、その頼もしさが凄く良かったんですよね。



現実はときとして、意外なほど高い頻度で、想像を超えてきます。それが悪いほうに働くときも少なくないけれど、良いほうに働くバージョンもやっぱりあるんだなって。そう改めて思わせてくれるようなライブでした。
あまりにも心の急所を突かれて追いついていない間に、もう追い打ちが来ている。そんなジェットコースターの時間が、今までで一番忘れられない記憶の一つになったことに、疑いの余地はありません。


ようやく 6th が行われて、それを思えば私たちが Aqours を追いかけられる日々は、それがゆえに頑張っていける日々は、ある意味では始まったばっかりで。

始まったばかりのこれからを、「嬉しいことばかりじゃなくて、辛くて、大変なことだっていっぱいある」かもしれない日々を、改めて、慈しんでいきましょう。