スクスタの感想を全体的にいろいろ書いていく回

こんにちは。センケイです。

 

追記:20章、21章について

 

2020/11/02 時点で、「スクスタ 感想」で検索すると私のこの記事が上位に来ていることに気付きましたので、20章についての感想へのリンクを設置いたします。

a16777216.hatenablog.com

また、2020/12/17に、21章の感想もアップしました。

a16777216.hatenablog.com

 

皆様、ありがとうございます!

 

 

 

※ 追記ここまで↑↑

 

スクスタと呼ばれるゲーム。*1

改めて真剣にやってみたところ、結構ありとあらゆる面でかなり満足だったため、つらつらと感想を書いておきたいと思います。

 

改めて真剣にプレイしたメインの理由は、一番はより音楽を楽しむためでした。

特に、「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 2nd Live!」が行われること、および 3rdアルバム「Just Believe!!!」が発売されることを受けて、より音楽を楽しむためにも物語をちゃんと直近のぶんまで追いかけておきたい、と考えたわけです。

もちろん、好きなものを追いかけたいがゆえに、せっかくなら研究にしようと志したことも、理由の1つになります。

 一次資料!一次資料!ヒャッハー!!というわけですね。

 

 

物語が素晴らしい

というわけで、やはり最も心動かされたのはストーリーについてです。内容それ自体については、この期に及んで私が書くことでもないかなと思いますので、少し外枠にあたるような話を。

 

とりわけ刺さってきたのは13章と16章で、これについて述べていきます。

どちらの章も三船栞子が非常に重要な位置を占めますが、頬の紅潮がかなり繊細に表現されていることに驚かされます。

ライバル役として初登場したころはいっさい赤らみのない鉄仮面ぶり。これはアニメ本編ではまだ不仲な頃の絢瀬絵里黒澤ダイヤさえも見せない、当シリーズきっての硬い表情です (強いて言えばタメをはれるのは、サンシャイン!! 1期 OP における、うつむいているシーンでの3年生の表情くらいでしょうか)。

しかし、多少打ち解ける場面や、動揺するような場面など、その頬の赤らみを見せる場面が少しずつ現れてきます。

アニメと比べるとかなり制限された描画の中で可能な描き方を出来る限り試した、飽くなき完成度への追求を感じます。

いっぽう、私はあまり声について語るボキャブラリーは多くはないですが、それでもなおはっきりと分かるのは、演じられている声も段階的に柔らかくなっている点です。こちらも見事な表現です。

 

14章以降でも、まだまだ栞子は同好会との間に軋轢を持ち続けます。が、だからこそ13章末に一瞬見せる、おそらく初めての笑顔は、かなり印象に残るものでした。

 

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出典: ラブライブ! スクールアイドルフェスティバル ALL STARS

 

ある程度協力的な関係になってきても、多くの場面では再びドライな表情をあらわにします。しかし、それがむしろスクールアイドルに真剣であることの表現に転じる瞬間があり、驚かされます。

下記を含む幾つかの場面で、毅然とした態度を取るパーソナリティー自体が、いつのまにか彼女の魅力として映るように仕掛けられていたんですね。

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出典: ラブライブ! スクールアイドルフェスティバル ALL STARS

 

上原歩夢とのかけあいの魅力も語るに尽きません。

相手の真意を見抜いてしまう歩夢のセンスと、支援することにかけては諦めを見せない栞子の熱意とが、お互いを引き出し合うということ。あなたとの不和があったからこそ、二人が個人的な付き合いをする間柄になっていったということ。フェスティバルという目的については迷いを見せながらも、栞子が親しさや相手の感情を理由に行動をし始めるようになったこと。そして、ここまで通底してきた「やりたいこと」というテーマや、あなたとの不和をも劇中劇として取り込んだスピーチを通して、歩夢がいくつもの問題を同時に解消してしまうということ。

 

個人的な愛情を武器に大きな問題を解決してしまうのは一見セカイ系のようにも見えますが、セカイと身内との間に社会のリアリティーがある分、一歩踏み込んだ描写になっているのを感じます。

音楽やダンスを題材にしたゲームであるために、私たち多くのファンにとってライブという形式は馴染みのあるものです。実際、ゲーム制作スタッフのなかにも、ゲームとライブ運営の双方に関わっているかたがいらっしゃるかもしれません。

そのような中での、フェスティバルを行うにあたって現れてくる多くの手続きやハードルの描写は、アクチュアリティーのあるものです。厳密には、作中の物語の設定がどれほど現実に即したものであるか確かめるのは難しいですが、少なくとも私たちはその真実味を信じることができます。提供スタッフ自らが現場のリアルを描いた、ライブ版 SHIROBAKO のようなものである、と。

 

非常に手触り感のある舞台設定だからこそ、個性ある人物たちは (『〈面白さ〉の研究』という本の言葉を借りれば) その環境に「住んで」いるわけです。

高校生がライブスタッフをやるという大胆で分かりやすい世界観と、個人に寄り添う繊細な描写に加えて、その間に 1,000 人のボランティアを初めとする社会との接点が描かれるために、人物たちが生き生きとしたものとして現れてくるのでしょう。

 

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出典: ラブライブ! スクールアイドルフェスティバル ALL STARS

 

人物が素晴らしい

このゲームを始めてから一番印象が変わったのは、中須かすみと宮下愛です。

 

かすみについては、同好会消滅の危機にひんしてなお部室を守り続けてきたさまに心を打たれたのは、もちろん私だけではないでしょう。

これに加えて、少し小ずるいところがあるからこそ、人に親身になっているときの真剣さが際立つ点が、面白いところだと思います。

 

人間誰しもこの厳しい社会で行きていかなければならないから、「いい人」を徹底しようとしてみても、なかなか裏で自分の利益を考えないというわけにはいきません。現実問題として、相手の思わぬ一面を垣間見て「いい人だと思っていたのに…」と期待を裏切られることはよくあることだと思います。

このように考えてみると、利益の追求を臆面なく表に出しているかすみは、裏表がなく、期待を裏切られないというか、かえって信頼できる人物であるように思います*2

遠慮なく栞子に距離を詰めていくさまも然りですが、かねてからの同好会のメンバーの間の心理的安全性においても、一役買っているのではないでしょうか。

 

愛に関して言えば、真逆のアプローチかもしれません。多くの場面において相手に寄り添った工夫や言葉を選んでいるようで、優しさと知性が感じられます。

否定すべき場面でははっきりと否定をしているのですが、そのときも言葉のクッションをつど丁寧に選んでいるのが感じられます。

 

知性や相手への寄り添いは、このテスト対策の場面でもいかんなく発揮されます。その科目が得意か苦手かを問わず系統だって学べる方法を示しており、流石です。

それにしても、このゲームが多くの高校生によって遊ばれていると想像すると、大変教育的ですね。教材にしてほしいくらいです。

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出典: ラブライブ! スクールアイドルフェスティバル ALL STARS

ダジャレの中にも、豊富な知識が溢れてきているように見えます。カンバセーションかんばしくない、といったものの中には、高校生時代の時分にはとうていたどり着けなかったような語彙が見られます。

また、序盤においてアドレナリンの話題をしていた局面がありましたが、初登場時のころに見せた「逃走じゃなく闘争心が湧いてくるっての?」というダジャレも、アドレナリンが関係する反応である「闘争か逃走か」を意識しているのではないかと思わされます。

星空凛と競走した際のペース配分といい、「楽しいから笑うんじゃなく 笑うから楽しいんだ!」*3という歌詞といい、特に生理学には造詣が深いのではないでしょうか。それを実践に落とし込む運動能力の高さといい、スキルの底が見えませんね。

 

もちろん、他のメンバーも魅力にあふれており、多くの活躍を語るに尽くせませんし、ここで挙げた二人に限っても、まだまだ書きたいことはありますが、このあたりにとどめておきましょう。

 

MV が素晴らしい

演目になっている曲やダンスと、それを遂行するメンバーとが食い違っているのは、当初それほど重要でないギミックか、もしくはどちらかというとイロモノに近い楽しみかと思っていましたが、それは大きな誤解でした。

アピアランスという身体と、歌声やダンスという身体、これらのギャップというのが、これまたえもいわれぬ魅力を醸し出していたのです。

複数の身体が重なって顕現されるこの描写は、声優さんにキャラクターが憑依して感じられるのともまた違う種類の多重化と言えるでしょう。

 

身体については目下勉強中なので自分に語彙があまりないため、能書きはこれくらいにして、個人的にツボだった例を挙げます。

特に、かすみの「夢への一歩」や、栞子の「めっちゃGoing!!」のギャップにはやられました。

 

夢への一歩は、元の振り付けにせよ、3D モデルの動きにせよ、この歌や歩夢の人物像に合うように手首足首の角度までかなり繊細に作られているのをしみじみと感じます。「ダイアモンド」とはまた異なる種類の繊細さをかすみが踊ることで、不思議な魅力がじわじわと現れてきます。

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出典: ラブライブ! スクールアイドルフェスティバル ALL STARS

 

前述のように内心を比較的抑えるパーソナリティーだった栞子が、めっちゃGoing!! において全身で情感を表現するさまは清々しくさえあります。サビの「イェイ」のところでにっこりするのもたまらないですね。

後発隊だった自分は、16、17章の物語上で栞子加入の気配が見えるよりも先に栞子がメンバーになるというニュースを先に見てしまい、ネタバレするまえに話を進めておいたほうが良かったのだろうか…?という思いも少しありました。

しかし、こうしたパフォーマンスが幕間に挟まることで、フェスティバル実現に向けたプロセスを栞子が一緒に描いてきた感が強まりました。これはこれで後発隊の特権かな、とも思え、大変素晴らしいゲーム体験になりました。

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出典: ラブライブ! スクールアイドルフェスティバル ALL STARS

ところで、アニメの無印1期から回を重ねるごとにいっそう洗練されてきているのを感じる 3D モデルですが、不気味の壁を完全に超えきってしまいましたね。

アニメにおける MV と異なり 2D のカットが一切挟まらずともずっと自然に見ていられ、いっさい機械的な動きを感じさせません。まして、上の例のようにどの人物がパフォーマーであろうと文字通り機械的に同じ動作をするのであれば、ますます自然な動きには見えにくくなるかと思うのですが、これが見事に自然です。 これは、ロボットダンスと思しき「ドキピポ☆エモーション」ではいっそう際立ち、驚くほど生身の人間に見えてくるのです。 (あるいは同じ曲でもパフォーマーごとにほんのわずかに動きが異なっているのでしょうか…?目や髪、服に矛盾が生じないようにするためには、そうしたアレンジをしていてもおかしくはありません。引き続き注視したいところです。)

相当な努力の果てに、このような美麗な動きを実現されているのでしょう。

 

BGM が素晴らしい

スクフェスのホーム画面曲も μ's の曲、Aqours の曲ともに大変素晴らしいですが、スクスタは誰をナビに選ぶかごとにホーム画面曲がその人物のテーマ曲に変わるようになっており、飽きが来ない点からしても、ゲームの雰囲気を好みのテイストにカスタムできる点からしても、優れた設定だと思います。

それにしてもこのホーム画面曲はどのメンバーにしても大変推せるものになっています。何らかのソロ曲がベースになっている感じがしつつも、いっそう「ぽさ」が出る感じになっており、しかも尺も意外に長いです。ずっと聴いていられます。

 

自分は今までのところ、μ's の推しである園田海未や、ニジガクの推しである優木せつ菜をナビにしてきましたが、二人ともそのまっすぐな情熱を表すようなゴリッゴリのサウンドになっており、おおっ、この曲をテーマにして遊べるのはありがたいな…の一心でした。曲とは関係ありませんが、ストーリーでも情熱で意気投合する局面がありましたね。尊いことです。

 

イベントの曲や合宿曲も印象に残るもので、気を抜くと私生活の頭の中で流してしまっています。どちらも曲にそれなりのレパートリーがあるようですね。

自分はちょうどチョイ悪イベントが執り行われているときに集中してプレイしていましたが、せつ菜や千歌が悪そうな表情を浮かべて踊るイベント画面と曲とが、見事にマッチしていましたね。

いっぽう合宿曲のほうは、おそらくですが、計画表の1つめの内容に応じて曲が変わるのでしょうか。自分としては、ストレッチを最初に選んだときの元気な曲がずっと記憶に残っています。

 

末永く続いていって欲しいこのゲーム

他にもここが良いなと思った点はたくさんあります。

自分は、このブログでたびたび書いてきたようなイカツイ戦略ゲームの熱狂的なプレイヤーなのですが、9人のバフスキルをいかに組み合わせて最適化するかという楽しさは、そうしたコア向けのゲームにも相通じるように思いました。このように頭を使わせてくるところが、末永く楽しめるゲームシステムを形作っていると思います。

それでいて、ルールが何となくしか分かっていない状態でも楽しみ始められるカジュアルさ。開発のかたがたは、この両立をはかるために、粉骨砕身の努力をされてきたのではないかと想像しています。大変優れたゲームデザインです。

 

合宿におけるちびキャラのデザインも秀逸で、どの内容においても、たしかにこの人はこういう反応をしそうだな、という分かりみのある所作をするようになっています。

 

 

さて、冒頭でかいたようなきっかけから、特にここ最近は集中的に進めてみていたのですが、ちょうど今日で一周年になるのですね。

ソーシャルゲームと言うと、ドーパミンという神経伝達物質をハックすることを主目的にしているようなイメージが拭えませんが、このゲームに見られる細かい作り込みを見てくと、必ずしもそのような一面的な理解が正しいわけではないと思えてきます。明らかにこのゲームは、クリエイティビティーの発揮の場にもなっているのではないでしょうか。そして、ラブライブ!シリーズの1ファンとしては、キャラクターを大事にしてくれるその作り込みへのこだわりに感謝の念をも感じてきます。

優れたゲームの1つとして、あるいは、このいくらでも沼れる美麗な表現として、ぜひとも、長く続いていってほしいなと思います。

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出典: ラブライブ! スクールアイドルフェスティバル ALL STARS

 

そして今日は、一周年という日を、嬉しみたいですね。

 

 

それでは、ここまで読んで頂いてありがとうございました!

自分はあまり強くないので、ID をお知らせするか迷うところですが、何らかの機会があればまた、ゲーム上でもお会いしましょう。

 

参考文献

lovelive-as.bushimo.jp

 

出版社サイト

 

 

ja.wikipedia.org

 

ja.wikipedia.org

 

en.wikipedia.org

 

作詞 Akira Sunset、作曲 Akira SunsetCarlos K.、編曲 Carlos K. 『楽しいの天才』実演 宮下 愛(CV.村上奈津実) (2020) LACA-15840

 

 

*1:ラブライブ! スクールアイドルフェスティバル ALL STARS』という正式名称を持つ一方で流石に長いためか一部の公式サイトでもスクスタと呼ばれているところにも好感を覚えます。

*2:強いて言えば、堂々と30分遅刻するのはやめたほうが良いと思いますが…。

*3:感情が先にあって笑いや涙が生じるのではなく、笑いや涙が出たことを受けて感情が生じる、あるいは少なくとも強まるという仮説で、「表情フィードバック仮説」というものがあり、2016年時点では仮説の真偽に決着がついていないようです。